ロータス・エヴォーラよ永遠に MR 2+2のグランドツアラー 500kmの旅 後編

公開 : 2021.12.12 09:46

最後まで最高のドライバーズカー

試乗車は走行距離が2万kmを超えていたが、確かに運転席の右前から風切り音が聞こえていた。でも、助手席側はだいぶ静かだった。ジーリー・ホールディングス以前の、ロータスらしい不備かもしれない。ただし、耳障りなほどではない。

それ以外のエヴォーラは素晴らしい。見事な仕上がりの中にある、昔ながらの弱みに過ぎない。もし操縦性が悪ければ、10年ほど前にエヴォーラは消滅していたかもしれないけれど。

ロータス・エボーラGT410(英国仕様
ロータス・エボーラGT410(英国仕様

マックスと合流し、エラン渓谷で終日エヴォーラを撮影した。10月の素晴らしい景勝地で過ごす家族を避けつつ、ステアリングフィールを楽しんだ。

運転する時間が過ぎるほど、筆者はロータスと打ち解けていった。自宅へ戻る時間が来る頃には、古くからの友人と過ごしたように感じられた。

朝の6時に出発してから14時間後、コッツウォルズの自宅へ戻る頃には、インフォテインメント・システムのことなど忘れていた。ドライバーの背後に積まれた、V6エンジンの洗練されたサウンドと力強さを、本能的に味わっていた。

スーパーチャージャーの存在感はほぼない。リアウインドウ越しに、ブロワーの膨らみが見える程度だ。

筆者が考える、ロータス・エヴォーラ最大のストロングポイントは、やはりシャシーにある。10年以上のモデルライフの間に、何台ものライバルが登場した。しかし、スタビリティに優た最高のドライバーズカーであることは、変わらなかった。

生産終了を迎えた今、改めてその事実を確認できてうれしかった。

ロータス・エボーラGT410(英国仕様)のスペック

価格:8万2900ポンド(約1260万円)
全長:4390mm
全幅:1850mm
全高:1240mm
最高速度:280km/h
0-100km/h加速:4.2秒
燃費:9.1km/L
CO2排出量:248g/km
乾燥重量:1361kg
パワートレイン:V型6気筒3456ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:415ps/7100rpm
最大トルク:40.7kg-m/3500rpm
ギアボックス:6速マニュアル

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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