ロータス・エヴォーラよ永遠に MR 2+2のグランドツアラー 500kmの旅 後編

公開 : 2021.12.12 09:46

生産終了を迎えるロータス・エボーラ。発売から10年以上が経過しても衰えない傑作を、英国編集部が再確認しました。

小ぶりで活発な本物のロータス

ロータス・エヴォーラは、AUTOCARの英国編集部でもお気に入りのモデルだ。年末恒例の英国ベスト・ドライバーズカー選手権でも、好成績を残している。確かなグリップ力と正確なステアリング、はつらつな動力性能というレシピは、理想的といえる。

エリーゼやエキシージと比べて乗り降りしやすいという点も、触れるべきだろう。押出成形材を接着剤で組み合わせたアルミニウム製のプラットフォームは、3モデルの展開が前提となっていた。

ロータス・エボーラGT410(英国仕様
ロータス・エボーラGT410(英国仕様

2+2のシートレイアウトを選ぶことで、シャシー長は200mmほどプラス。重さも100kgほど増えた。独特のプロポーションのおかげで、少し魚っぽい見た目に仕上がっていると、筆者は思う。

そんなことを考えながら、フォトグラファーのマックス・エドレストンと合流するため、英国の国道A417を西へ走る。途中でA438号線を経由し、エラン渓谷の中心に位置するラアアデルの街へつながるA44号線を進む。道中、エヴォーラは完璧なクルマに感じられた。

ステアリングは極めて正確。全幅は1850mmしかないから、狭い道でもすり抜けやすい。ホイールベースが長く、運転席が中央に位置しているため、乗り心地もフラット。本物の活発なロータスだ。

ACBCという、ロータス創業者であるアンソニー・コーリン・ブルース・チャップマンのイニシャルがあしらわれたモデルを、筆者がこれまで8台も乗り継いできた理由も同じだった。

古さを隠せないインテリア

英国西部のウェールズ地方は、ドライバーのためのエリアとは呼びにくくなっている。かつてとは違い、速度取り締まりカメラが点在し、地元民の目も厳しい。

それでも、舗装したての美しい路面にいくつかのカーブが連続する、人影の殆どない道もなくはない。住民や家畜を驚かせることなく、ロータス・エヴォーラを積極的に楽しむことができたことも、認めよう。

ロータス・エボーラGT410(英国仕様
ロータス・エボーラGT410(英国仕様

機会があれば、是非読者も一度経験して欲しい。英国はまだ、ロータスの国だ。

ポルシェ718ケイマンのように、純粋で最新の2シーターモデルと比べると、インテリアの古さは隠せない。メーカー純正のインフォテインメント・システムは、明らかに時代遅れに見える。

少し不格好なアルミ製のシフトノブは操作しやすい。だが、センターコンソールの雰囲気は、家庭用の電動工具のようにも思えてしまう。最新モデル、ロータス・エミーラの車内が、遥かに未来的に感じられても当然だろう。

そもそも10年前の発表間もない頃から、新しさに欠けるインテリアだと指摘されていた。だが、エヴォーラの魅力を削ぐほどではない。

エヴォーラで、最も気になる欠点とはなんだろう。エンジニアの1人は、サイドウインドウ前端の、少しぎこちない納まり処理を指摘したことがあった。その付近で発生する風切り音を解消するのに、苦労したという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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