2021年の頂点は フェラーリSF90 甚大なパワーを展開 決勝の3台 BBDC 2021(5)

公開 : 2022.01.02 05:45

SF90の甚大な動力性能を展開する能力

SF90 ストラダーレは速かった。恐らく、読者の想像通りだろう。その最大の偉業は、甚大な動力性能を展開する能力にある。ドライバーを楽しませるだけでなく、悪ふざけもできる懐の深さも兼ね備えている。

フォード・エスコートMk2のように運転できた、フェラーリ488 ピスタの印象をプライヤーが振り返ったが、筆者も似た考えを持った。SF90 ストラダーレほど寛大なスーパーカーは、そうそう出てこない。

フェラーリSF90 ストラダーレ・アセット・フィオラーノとアリエル・アトム4、ポルシェ911 GT3
フェラーリSF90 ストラダーレ・アセット・フィオラーノとアリエル・アトム4、ポルシェ911 GT3

タイミングを掴めば、数100m連続してテールスライドさせることも可能。だが、過去にBBDC選手権で優勝した488 ピスタや458 スペチアーレとは、違う次元での速さと楽しさでもある。

アセット・フィオラーノ・パッケージという軽量化パッケージが組まれていても、そこまで軽くはない。フロントタイヤを駆動するモーターは、真っ直ぐボディを引っ張ろうとする。ドライバーの意思にそぐわない場面も、ゼロではなかった。

ソーンダースがまとめた。「フェラーリのシンプルなミドシップ・モデルらしい、コーナリング時の先天的な落ち着きが備わっていません。生粋の才能を。複雑なパワートレインで、予想が難しい印象が勝りますね」

といっても、BBDC選手権のトップ3に選ばれた時点で、秀抜な仕上がりであることは間違いない。公道走行が許されたクルマを後年に振り返った時、改めて驚かされるであろう実力は備えている。

2021年のBBDC選手権は、アリエル・アトム4が過去初めての3年連続での優勝を掴むのか。ポルシェ911 GT3かフェラーリSF90 ストラダーレが、連覇を止めるのか。この続きは(6)として、プライヤーにシメを綴ってもらおう。

記事に関わった人々

  • アンドリュー・フランケル

    Andrew Frankel

    英国編集部シニア・エディター
  • マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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