アルファ・ロメオSZ 英国版中古車ガイド 奇抜なデザインにブッソV6の名車

公開 : 2022.01.17 08:25

合法的な速度で運転の喜びを享受できる

先述の通り生産台数は非常に少なく、アルファ・ロメオとザガートというブランドの掛け合わせもあって、近年では価値が見直されている。ファミリーカー並みにまで価格が下落していた時期もあったが、今なら5万ポンド(約775万円)程は必要になるだろう。

その程度の金額で、合法的なスピードでも存分に運転の喜びを享受できる、イタリアン・クラシックが手に入るとも考えられる。独創的なスタイリングのボディを鑑賞しているだけでも、大きな充足感に浸れるはずだ。

アルファ・ロメオSZ(1989〜1991年/欧州仕様)
アルファ・ロメオSZ(1989〜1991年/欧州仕様)

専門家の意見を聞いてみる

エイドリアン・ジャーディン氏:アルファエイド社代表

「なんといっても、注目を集める見た目が大好きですね。何度見ても飽きません。ブッソ・ユニットが奏でる惚れ惚れするサウンドと、素晴らしい操縦性も大きな魅力。挙動も予想はしやすいといえます」

アルファ・ロメオSZ(1989〜1991年/欧州仕様)
アルファ・ロメオSZ(1989〜1991年/欧州仕様)

「ただし、問題もなくはありません。グラスファイバー製のボディは小さな気泡に悩まされるので、乾燥したガレージでの保管が不可欠。ヘッドライトも、正直明るいとはいえません」

「ノーマルのブレーキは効きが弱く、パッドのアップグレードも必要でしょう。ブレンボ社からアップグレード・キットが売られていましたが、現在は入手できません」

「それと、ガソリンスタンドなどでは予想外に時間が取られます。SZへ興味を持って、話しかけてくれる人が多いので!」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

タイミングベルトとテンショナーの定期点検は忘れずに。エンジンオイル漏れは珍しくない。全体的には堅牢で、目立った不具合は起きにくいようだ。

トランスミッションとステアリング

リンケージが摩耗し、変速フィールが悪化する。2速のシンクロメッシュが駄目になり、プロペラシャフトの振動を招くことがあるという。

アルファ・ロメオSZ(1989〜1991年/欧州仕様)
アルファ・ロメオSZ(1989〜1991年/欧州仕様)

ステアリングフルード・ポンプとラックから、フルード漏れする場合がある。システム自体の信頼性は高い。

サスペンションとブレーキ

足回りからノイズが出ることがある。リア側のブッシュ類や、Aフレームのピロボールなどの状態はしっかり確認したい。標準のコニ社製ダンパーが、オイル漏れしていないかも確かめる。特に高価な部品だ。

ノーマルのブレーキは効きが悪く、高性能パッドへの交換や、特注のアップグレード・キットで組み直す方が得策。キャリパーの固着にも注意したい。

ボディとホイール

グラスファイバー製のボディパネルは、細かな気泡ができやすい。各ピラーとフロントガラスの付け根、ドアヒンジ、バルクヘッド、インナーフェンダーなどは錆びるポイント。ヒンジの劣化で、ドアが下がることがある。

エグゾースト系や燃料タンクが錆びることもあるようだ。アルミホイールも腐食することがあり、修理は安くない。

電装系とインテリア

すべてのスイッチ類は作りが良くない。シートの表皮は痛みやすい。プラスティック製部品も割れやすい。オリジナルのステレオユニットは故障しがち。

トリップメーターやヒーターファン、ショックアブソーバーの高さ調整機能、ステアリングコラムのレバー、ラジエターファン、リアガラスの熱線、ウオッシャーなどの動作確認もお忘れなく。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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