半導体ショック、新たなセールス手法も 輸入車の2021年12月販売ランキング

公開 : 2022.01.13 05:45

12月のインポートカーの登録台数を分析。半導体ショックを逆手にとる、面白いセールス手法も登場。フェラーリは、過去最高の記録も。

納期短いモデルが“推し”に

JAIAが発表した2021年12月の輸入乗用車登録台数は、2万4238台を記録し、前年同月比で85.1%という厳しい結果となった。

例年、期末の3月とボーナス需要期の6月・12月は、登録台数が伸びる月で様々な拡販策が行われる。しかし、半導体ショックの影響により、2020年12月にも及ばなかった。

納車時期が不透明なこの時代。フォルクスワーゲンのTロック、Tクロス、ポロを対象としたキャンペーンは、納期の短さを売りにしたもの。
納車時期が不透明なこの時代。フォルクスワーゲンTロックTクロス、ポロを対象としたキャンペーンは、納期の短さを売りにしたもの。    フォルクスワーゲン

消費税引き上げ直後の2019年12月は落ち込んだが、2018年12月は3万4748台が登録される好調ぶりだった。

2021年の12月は、2018年比で69.7%まで落ち込んだことになる。

こうした半導体ショックの影響を逆手にとってセールスを推し進めているのがフォルクスワーゲンの日本法人だ。

本国との交渉で台数を確保して「アーリー・デリバリー・キャンペーン」を行っている。

対象となるのはTロック、Tクロス、ポロの3モデルに限られるが、確保している車両であれば比較的短い納期で納車できることをアピール。

半導体ショックから生まれたあらたなセールス手法として興味深い。

超高級車フェラーリ、新記録樹立

高級車カテゴリーではフェラーリが絶好調だ。

SF90のデリバリーが本格化し、他のモデルも続々とイタリアから上陸してきたことにより、単月での新記録となる150台(前年同月比157.9%)を数えた。

2019年秋に日本導入が発表されたフェラーリSF90は、日本のカスタマーへのデリバリーが本格化している。
2019年秋に日本導入が発表されたフェラーリSF90は、日本のカスタマーへのデリバリーが本格化している。    上野和秀

このほかのメーカーもオーダー車が12月に本国から届き、マセラティ(164台:同119.7%)、BMWアルピナ(35台:同166.7%)、アストン マーティン(27台:同150%)が好調。

フェラーリは2021年の年間累積でも1237台(同114.0%)と過去最高台数をマークし、高級車カテゴリーではマセラティの年間累積(1085台:同120.8%)を上回る圧倒的な強さを見せつけた。

2021年12月 登録台数トップ10

12月の輸入乗用車登録台数トップ10を数字でご覧いただこう。登録台数と、前月の順位からの変動幅を記載した。

1位:メルセデス・ベンツ(5317台)
2位:BMW(3532台)
3位:フォルクスワーゲン(2800台)
4位:BMWミニ(1918台)
5位:ボルボ(1843台)
6位:プジョー(1242台)+2
7位:アウディ(1103台/)ー1
8位:ジープ(1009台)ー1
9位:ポルシェ(822台)+2
10位:フィアット(787台)

プジョーの中型SUV「3008」は、顔つきが新しくなった改良型を販売中。写真はプラグインハイブリッド車で四輪駆動となる「3008ハイブリッド4」。
プジョーの中型SUV「3008」は、顔つきが新しくなった改良型を販売中。写真はプラグインハイブリッド車で四輪駆動となる「3008ハイブリッド4」。    上野和秀

12月は上位5メーカーに動きはないが、プジョーが6位にジャンプアップ。ポルシェがポジションを2つ上げてトップ10入りを果たす。

500の人気が高いフィアットは10位をキープした。

ちなみにトップ10のメーカーで、前年同月比でプラスとなったのはフォルクスワーゲン、ボルボ、プジョー、フィアットだけだった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

関連テーマ

おすすめ記事

 

フォルクスワーゲンの人気画像