ジーカー001へ試乗 543psと100kWh 欧州へ上陸か 純EV市場へ大インパクト

公開 : 2022.02.02 08:25

品の良いスタイリングと不足ない走行性能、充実装備。欧州上陸も視野にある中国車を、英国編集部が評価しました。

最高出力543ps 駆動用バッテリー100kWh

中国のジーリー・ホールディング社のことは、AUTOCARの読者ならご存知かと思う。複数の自動車メーカーの筆頭株主であり、ジーリー・モータース社の親会社でもある、グローバル企業だ。

だがジーカーという名前は、初めて聞く方も多いだろう。これは、リンク&コーから分身した、ジーリー・モータース社が有する新ブランド。純EVに特化しており、より上級の位置付けがされている。高性能な純EVに対する需要増加を狙っているようだ。

ジーカー001 ユー(中国仕様)
ジーカー001 ユー(中国仕様)

モデル名は001。その数字の通り、ジーカー・ブランドとして最初のモデルに当たる。

001の基礎骨格をなすのは、ジーリー・モータースのサスティナブル・エレクトリック・アーキテクチャ(SEA)と呼ばれるプラットフォーム。今後、スマートポールスターといったブランドの純EVも、採用する計画にある。

ボディスタイルは、純EVとしては目新しいシューティングブレーク。トップグレードとなる四輪駆動の場合、前後2基の駆動用モーター合計での最高出力は543ps。0-100km/h加速を3.8秒でこなし、ドイツのBMW i4 M50に匹敵する加速力を備えている。

駆動用バッテリーの容量は、86kWhか100kWhから選択が可能。エアサスペンションを装備し、117mmから205mmの範囲で、最低地上高を変えることができる。

今回試乗したのは、容量の大きい100kWh仕様。航続距離は四輪駆動で606km、後輪駆動で712kmをジーカーは主張するものの、甘い数字が出るNEDCでの値となっている。急速充電能力は、360kWまで対応可能だという。

上質な素材で仕立てられたインテリア

試乗車のボディカラーは、落ち着いたダークパープル。それでも、少なくない歩行者の注目を集めていた。前後オーバーハングは非常に短く、ホイールベースは約3mと長い。ちなみに、ヒュンダイ・アイオニック5と同等だ。

ルーフラインは後方に向けてなだらかに傾斜し、テールゲートは大きく傾いている。空気抵抗を示すCd値は、0.23を達成している。小さいほど空気抵抗が良いことになり、現行型のトヨタプリウスは0.24だ。

ジーカー001 ユー(中国仕様)
ジーカー001 ユー(中国仕様)

シューティングブレーク風のシルエットだけあって、後席側の空間も悪くない。身長が180cmくらいまでの大人なら、問題なく過ごすことができるだろう。ホイールベースが長いから、足もと空間はゆったりしている。

また後席側にもパワーシートが奢られ、スイッチ1つで角度調整が可能。ボタンはアームレストと、センターコンソールの後端に付いている。

滑らかなボディ面を作る目的もあり、ドアハンドルやドアの開閉動作は、純EVのデザインで見せ場の1つ。001の場合、開閉ボタンをそっと押すと、電動でドアが開く仕掛けだ。席に座りドアハンドルを軽く引くと、電動でスッと閉まる。

前後のドアは、ダッシュボード中央の15.4インチ・インフォテインメント用タッチモニターでも操作できる。すべてのドアを同時に開閉できるメニューもある。

インテリアに用いられている素材は上質で、仕立ても感心するほど良い。好印象な造形は、上下で層になったダッシュボードがハイライト。センターコンソールは、運転席側を軸にデザインされている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・アンドリュース

    Mark Andrews

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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