BMW i4 詳細データテスト 傑作EV 4シリーズ譲りのハンドリング おすすめは下位グレード

公開 : 2022.01.29 20:25  更新 : 2022.02.01 22:34

結論 ★★★★★★★★☆☆

メルセデスやフォルクスワーゲン、はたまたボルボと違って、BMWはここまで、全面電動化を表明していない。それだけに彼らが、少なくとも日常使いにおいてはいまのところもっとも万人受けしそうな基幹EVといえるi4を生み出したことが、かえって印象的に思える。

その最上位モデルで、ポルシェタイカンすら打ち負かしそうなM50を今回テストしたわけだが、これはラインナップ最高のグレードではないかもしれない。ベストチョイスは、もっと低価格で気楽に運転でき、航続距離も長いeドライブ40だろう。

結論:速く、洗練され、懐疑主義者を心変わりさせるに足る古風な魅力も数多く備えたEVだ。
結論:速く、洗練され、懐疑主義者を心変わりさせるに足る古風な魅力も数多く備えたEVだ。    LUC LACEY

そうはいっても、ライバルたちに比べれば洗練性やパフォーマンス、ハンドリングの安心感や使い勝手において、ささやかながらも勝っている。SUVではないプレミアムEVを探しているユーザーにとっては、間違いなく最有力候補の登場だ。

真剣に購入を検討するとなれば、モデル3やタイカンを排除して一択、というわけにはいかないだろう。テスラのスーパーチャージングネットワークや、ポルシェの秀逸なハンドリングは無視できないだけに、目移りしてしまうかもしれない。

もう少し軽くて、フィールがあって、航続距離も長ければ、3シリーズ・セダンや4シリーズ・グランクーペの上級グレードと比較検討する対象になれたかもしれない。とはいえ、それも時間の問題ではないかと思われる。少なくとも現時点では、それを目指すBMWの意思表明だと思っておこう。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

本格量販EVに着手するにあたり、4ドアを選ぶことには意味を見出せる。とはいえ、4ドア・グランクーペのボディで造ることができるなら、2ドアクーペにもできるはずだ。そうなれば、本当に商品力の高い電動GTが完成するだろう。

マット・ソーンダース

BMWはおみごとだ。どことはいわないが、ICE用プラットフォームをEV化して、あらゆる妥協に屈しているメーカーもある。ところがi4は、それらよりずっとEVとしての独自性があって、完成度も高い。

オプション追加のアドバイス

そもそも、M50が必要かどうか熟考する必要がある。事実、eドライブ40はもっとバランスに優れ、イージーに走らせられるドライバーズカーだ。装備面では、コンフォートパックとMスポーツ・フロントシートがおすすめだ。

改善してほしいポイント

・リア周りの視覚的なボリューム感を、多少削ぎ落としてほしい。フロントについては、もっとエレガントにできる余地が十分にある。
・OEMタイヤの選択は、再考の余地あり。現在のタイヤは、ウェットブレーキングで食いつきが足りない。
・スロットルペダルの踏みしろをもう少しだけ増やしたら、ロードカーとしてよりよいものになるはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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