廉価グレードでも印象はベスト BMW i4 eドライブ35へ試乗 身近な銘柄に迫る価格帯

公開 : 2023.11.15 19:05

少し穏やかなモーターと控えめなバッテリーを積んだi4 身近な銘柄のEVと並べて検討できる価格 BMWらしい走りの訴求力 英国編集部が評価

身近な銘柄のEVと並べて検討できる価格

バッテリーEVが普及し、技術が進歩することで、魅力的なモデルの価格は徐々に低下している。非常にゆっくりだとはいえ。最近の新車価格はおしなべて上昇しているものの、実際、その傾向は現れ始めている。

例えば、2019年から英国で販売が始まったテスラモデル3は、2023年には4万ポンド(約724万円)を切る価格で提供されている。5万ポンド(約905万円)へ予算を増やせば、電動サルーンの選択肢は大幅に増える。

BMW i4 eドライブ35 Mスポーツ(英国仕様)
BMW i4 eドライブ35 Mスポーツ(英国仕様)

BMWにも、そんな変化は訪れている。エントリーグレードのeドライブ35が追加されたことで、i4を4万ポンド(約724万円)台後半から購入できるようになった。既に、英国では納車も始まっている。

この価格帯になると、ライバルはアウディメルセデス・ベンツではなくなる。日産フォードヒョンデといった、より身近な銘柄がラインナップするバッテリーEVと、同列に検討できるといってもいい。

このi4 eドライブ35は、駆動用モーターが1基の後輪駆動。ひとつ上のeドライブ40よりパワーで劣り、駆動用バッテリーの容量も小さくなる。それでも286psと67kWhは充分といえ、カタログ値での航続距離は445kmから463kmがうたわれる。

車重も1990kgへ軽くなり、0-100km/h加速は6.0秒。ひと回り大きくパワフルな、i5 eドライブ40へ並ぶダッシュ力を備える。

リアシートは少々狭い BMWらしい走りの訴求力

BMW 4シリーズ・グランクーペと同等のボディサイズを持つi4は、滑らかなルーフラインの影響で、リアシート側の空間は少々狭い。大人4名での移動に問題はないものの、頭上空間が限られ、身長の高い人を乗せるのに適したパッケージングとはいいにくい。

とはいえ、成長期の子どもなら問題はないだろう。車内の高さを少しでも確保したい場合は、サンルーフは避けた方が良いだろう。更に天井を低くしてしまう。

BMW i4 eドライブ35 Mスポーツ(英国仕様)
BMW i4 eドライブ35 Mスポーツ(英国仕様)

荷室は広くスクエアで、リアハッチが大きく開く。荷物の積み下ろしも容易にできる。

ベーシックなスポーツ・トリムグレードでも、ライブ・コックピットと呼ばれるデジタル技術満載のインテリアが付いてくる。予算を増やしMスポーツへアップグレードすれば、随所にMのゴロが散りばめられ、シートがスポーティになり、内装素材も良くなる。

Mスポーツでは、スタイリングが差別化されるのも従来どおり。さらに2375ポンド(約43万円)を上乗せすれば、Mスポーツ・プロを指定し、アダプティブダンパーと可変レシオ・ステアリングも追加できる。

試乗車のeドライブ35はMスポーツだったが、「プロ」ではなかった。それでも、操縦性にはBMWらしい訴求力が伴った。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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