最多売モデルが2代目へ メルセデス・ベンツGLC 220d 試作車へ試乗 クラスリーダーの片鱗 前編

公開 : 2022.04.01 08:25

成功を掴んだ先代の長所を伸ばした、次期GLCが完成間近。英国編集部がその仕上がりを、ひと足先に試作車で確かめました。

2021年のブランド再多売モデル

メルセデス・ベンツGLKの後継モデルとして、改名した初代GLCがショールームに並び始めてから7年が経過した。その人気は高く、2021年には同社の再多売モデルに躍進。モデルチェンジしたCクラスを差し置き、1年間で27万人のユーザーへ渡ったという。

その支持率の高さを考えれば、2代目もキープコンセプトなことは想定できる。スウェーデン北部での開発テストに投入されるプロトタイプへ試乗した限り、それは間違いないようだ。

メルセデス・ベンツGLC 220d 4マティック・プロトタイプ
メルセデス・ベンツGLC 220d 4マティック・プロトタイプ

最新のCクラスと同様に、新しいGLCもドイツと中国、フィンランドの工場で生産される。プラットフォームは初代のキャリーオーバーとなる、スチールとアルミニウムを適材適所に用いたMRA。しかし改良が施され、剛性と重量を改善させたという。

今回用意されたプロトタイプには、かなり重装備といえるカモフラージュが施されていた。ボディにはワゴン風の従来的なSUVと、ルーフが傾斜したクーペとの2種類が用意されるというが、スタイリングの仕上がりは確認できなかった。

車両開発を指揮するメルセデス・ベンツの技術者、ピーター・コルブ氏によれば、次期GLCの全長は現行型の4718mmから60mm伸ばされるとのこと。ホイールベースは15mm長いということだから、前後のオーバーハングもそれぞれ伸びると考えられる。

高レベルな知覚品質が放つオーラ

外観からその成長ぶりを実感することは難しかったが、ドアを開いて車内を見渡せば瞭然。現行型ではストロングポイントとはいえなかったリアシート側の空間も、膝周りを中心にゆとりが生まれている。

リアシートは前後にスライドでき、荷室容量を広げることも可能。車両前方へ寄せれば、内燃エンジン版での比較で、荷室は従来から15Lほど拡大する。トノカバー下で600Lの容量があり、同クラスではトップレベルの収容量といえる。

メルセデス・ベンツGLC 220d 4マティック・プロトタイプ
メルセデス・ベンツGLC 220d 4マティック・プロトタイプ

ダッシュボードの基本的なデザインはCクラスに通じているものの、大幅に手が加えられ、エアコンの操作系はオリジナル。取り付け位置はSUV感を演出するため、従来より持ち上げられている。

メーターパネルはモニター式。ダッシュボード中央にも、縦長のタッチモニターがレイアウトされるのは、最近ではお決まりのパターンだ。

ステアリングホイールは、マルチファンクション・タイプが据えられる。水平に伸びるスポーク部分に、タッチセンサーやボタン類が並んでいた。

偽装されていたものの、インテリアは現行のGLCよりだいぶモダンな雰囲気になっている様子。実際に押せるハードスイッチは大幅に少なくなっているが、高レベルな知覚品質が放つオーラを感じた。使用される素材も、より高品質なもののようだ。

試乗でしっかり体感できたのは、快適なフロントシート。クッション素材だけでなく構造から新しいそうで、太もも周りの当たりが心地良く、サイドサポートの剛性感が高められていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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