フォルクスワーゲン・ビートル・デューン・コンセプト

公開 : 2014.06.21 23:50  更新 : 2017.05.29 18:58

■どんなクルマ?

フォルクスワーゲンビートル・デューンは、オリジナルのビートルの車高をピック・アップし、さらに逞しくしたモデルである。

1月に開催されたデトロイト・モーターショーで初めて姿を現したデューンは、まだ開発段階ではあるが市場デビューを見据えており、クロス・ポロやクロス・ゴルフ、クロス・トゥーランと並ぶ前輪駆動のクロスオーバーである。

公式には、コンセプト・モデルであり現段階では市場の意見を伺っている状態だ。ただしウォルフスブルクのエンジニアはオートカーに対して、メキシコはプエブラの工場で2015年の販売開始に向けて、ハッチ・バックとカブリオレの両方がすでに生産段階の直前であることを明かしてくれた。

ワンオフの試作車はここ最近のフォルクスワーゲン製クロス・オーバー戦略を示してくれる一方、実際にショー・ルームに並べられる際にはもう少しトーン・ダウンする予定だという。

デザインを担当したフォルクスワーゲンの社内チームに所属するインゴ・ブルーヒマン氏はデューンについて”ディテールは多少の変更が加えられる予定ではあるが、デザインに対する精神はキープしていくつもりだ”と語る。

新しいLEDヘッド・ライトや、目を引くフロント・グリルを含むフロント・バンパー、エア・ダクト部分に収まるLEDフォグ・ランプなど、コスト削減と生産能率を上げるために、基本的には通常のビートルのボディ・パーツのうち鉄板以外の部分にデザイン変更が施されている。

ボンネットには左右対称のラインとブラック・アウトされたエア・ダクドが追加され、盛り上がりも大きくなっている。さらに、フェンダー・アーチにも黒いモールが追加され、ドアの下部にはかつてのビートルを彷彿させるサイド・ステップが加わった。

後部に目をやると、ルーフ・スポイラーと、リア・ウイングが追加されていることがわかる。また後者は拡張可能となりサーフ・ボードやスキー板、スノー・ボードを格納できる。

他には、半楕円系のLEDテール・ランプが横幅の迫力がを増強し、造形が豊かになったリア・バンパーはノーマルのビートルの魅力的なルックスに更に磨きをかける。ナンバー・プレート周辺の深く彫り込まれたデザインはフロントのそれと呼応し合い、分別あるサイズのマフラー・エンドを囲み込む形となっている。

従来の160psの1.4ℓ4気筒ガソリン・エンジンの代わりに、チューニングが施された2.0ℓ4気筒ガソリン・エンジンにが組み合わされ、最終的には210psを発揮する。

一方トルクに関しては、今のところ公表されていないのだが”およそ28.5kgmを幅広い回転域で発生することができる”ということを耳打ちしてくれた。

もちろんこれらの力は、フロント・ホイールに集中して流入することになるのだが、ESPを応用したXDS電子制御ディファレンシャル・ロックや6速デュアル・クラッチATを利用することにより、舗装路から悪路に至るまでの冒険を可能にしてくれるのだ。

■どんな感じ?

もちろん、モーターショーで展示するよりも、道路を走らせた方が良いに決まっている。

スタンダードのビートルよりも50mm嵩上げされ、最低地上高は180mmになる。また、フロントとリアに追加されたフェンダー・アーチ・モールの恩恵を受けて、ホイール・オフセットの値は小さくなり、29mm分ワイドになったタイヤを履くことが可能になった。したがってフロントとリアのトレッドはそれぞれ2607mmと1573mmになる。

ホイールは、他のモデルとデザインを共有する18インチ・ツイスター・ホイールに似た形の19インチ版をオプション選択可能で、オフロードには適さないダンロップ・スポーツ・マックスが組み合わされる。

写真では気づきにくいかもしれないが、このクルマを実際に目にすると高められた車高に驚くことになるだろう。たかが50mmと思われるかもしれないが、想像以上に逞しい印象を与えるはずだ。シートも大きく調整する事ができるので、仮に一番高い位置に設定すると非常にコックピットからの見晴らしがよくなる。

エクステリア同様にインテリアも、基本的な構造とデザインはそのまま流用さていているが、広範囲に渡って細かく手を入れなおしている。例えば、パッセンジャー・シート前方のグローブ・ボックスには握りが追加されているし、メーターのグラフィックはさらにスポーティーに、そしてレザー・シートのステッチも好意的な変更が施されている。

210psの出力と、瞬時に湧き上がる分厚いトルクのおかげで、デューンはとても力強い走りをする。0-100km/hの公表タイムは7.3秒となり、このタイムはどのスポーティーなビートルよりも速いということになる。

車高が高められているのならば、四輪駆動にしてもいいのではないかと思う読者もいるかもしれないが、あくまでもフォルクスワーゲンは車重をセーブするために前輪駆動のみに的を絞って販売する予定だそうだ。

またその車高のおかげで、ロール域は大きくなってしまうのだが見晴らしの良さとダイレクトなハンドリングのおかげで走行性能がスポイルされるといった印象は皆無で、むしろ非常に楽しく運転することができる。

ただしその車高のせいでホイールの上下可動域は制限されることになるため今回のコンセプト・モデルは硬く、不安定な印象が残った。したがってもし、実際に販売するデューンの車両が写真よりも低められていたとしても、これらの欠点を補うためであるのだからどうか驚かないで頂きたい。最終的には、現段階でフォルクスワーゲンから販売されているクロス・オーバーよりも30mm程度高い地上高に留まる計画だそうだ。

■「買い」か?

今現在、まだ買うことはできない。あくまで予定ではあるが2015年のロサンゼルス・モーターショーでのワールド・デビューを計画しているということなので、英国で目にするのは2年後くらいだろう。もしコンセプト・モデルのインプレッションに悪い印象を持っていないのならば、いまから購入を検討するのも良さそうだ。

(グレック・ケーブル)

フォルクスワーゲン・ビートル・デューン・コンセプト

価格 NA
最高速度 227km/h
0-100km/h加速 7.3秒
燃費 14.8km/ℓ
CO2排出量 194g/km
乾燥重量 NA
エンジン 直列4気筒1984cc
最高出力 210ps/5300rpm
最大トルク 28.5kg-m/1750rpm
ギアボックス 6速デュアル・クラッチ

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