トヨタ『GRカローラ』英国での生産を検討か 約1万台増産、米国需要に対応

公開 : 2025.05.28 07:45

トヨタは『GRカローラ』の英国生産を検討しているとの報道があります。米国市場での需要に対応するため、約80億円を投じて英バーナストン工場にラインを新設し、2026年から約1万台を生産するとのことです。

英国バーナストン工場に80億円投資

トヨタは、米国市場での旺盛な需要に対応するため、英国で高性能ハッチバック『GRカローラ』の生産を検討している。

ロイター通信の報道によると、トヨタは英国ダービシャー州バーナストンにある工場に新ラインを設立するため、4100万ポンド(約80億円)を投資する計画を検討中だという。

トヨタGRカローラ
トヨタGRカローラ

この工場では現在、英国および欧州市場向けに、標準のカローラのハッチバックとステーションワゴンを生産している。新ラインでは年間約1万台のGRカローラを生産し、米国に輸出する予定だとロイター通信は伝えている。

GRカローラ、GRやリス、GR86の生産を担当する愛知県豊田市の元町工場(いわゆるGRファクトリー)は、現在フル稼働しているとのことだ。同工場は昨年2万5000台を生産したが、そのうちの約3分の1はカローラだった。

ロイター通信はトヨタの関係者の話として、バーナストン工場はカローラの車体および付属部品の供給体制がすでに整っているため、GRカローラの新たな生産拠点として「白羽の矢が立った」と報じている。

英国でのGRカローラの生産拡大計画は、ドナルド・トランプ米大統領の関税措置によるものではないが、その点でもトヨタにとって間違いなくプラスとなるだろう。

米国は現在、日本を含む海外から輸入されるすべてのクルマに25%の関税を課している。しかし、英国は最近、10万台までの輸出について、関税を10%に引き下げる交渉に合意した。最終的な詳細はまだ確定していないが、現時点では、英国生産のGRカローラについては日本から輸出する場合よりも関税が低くなる見込みだ。

GRカローラは日本や米国など一部の市場でしか販売されていないが、英国生産が決まれば、欧州市場でも発売される可能性がある。

昨年、ドイツのニュルブルクリンクでプロトタイプによるテスト走行が確認され、欧州導入の期待が膨らんだ。トヨタの広報担当者は、グローバル製品をサーキットでテストすることはよくあることだと述べたが、発売の可能性は否定しなかった。

トヨタは現在、欧州でGRヤリスとGRスープラを販売しているが、GR86は欧州連合のGSR2安全規制により、欧州市場(英国を含む)から撤退した。GRスープラも間もなく販売終了となる予定だ。

バーナストン工場は1992年の開設以来、累計500万台の生産を達成している。

トヨタの広報担当者はAUTOCARの問い合わせに対し、現時点ではこの報道についてコメントは差し控えたいとした。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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