MG EV コンセプト

公開 : 2014.06.25 22:02  更新 : 2017.05.29 18:08

■どんなクルマ?

MGローバー・グループの知的財産を保有する中国のSAIC(上海汽車)グループ傘下であるロエヴェが販売しているE50をベースにして開発された車がこのMG EVコンセプトとなる。

現段階でMGは販売時期や価格に関して固く口を閉ざしているけれが、シルバーストーン・サーキットにおけるわれわれのテストを許可してくれた。

ロエヴェ版のモデルにMGのデザイナーが新たな線を引き直し、結果としてヨーロッパの市場に問題なく受け入れられるような小綺麗なルックスに生まれ変わった。全体的に見る者の顔をほころばせる仕立てとなり、とくにリア周りのディテールもすっきりと整頓されている。

その雰囲気はキャビンにも引き継がれるが、BMW i3ほどの高級感ある印象はない。身長180cmの大人4人が乗っても十分なスペースを持ち、センター・コンソールに鎮座するインフォテインメント・システムもとても扱いやすい。また軽やかな印象を与えるドア・パネルは乗客を窮屈に感じさせない作用があるようだ。

肩部や膝周辺のスペースにも全く不満を感じることがないのだが、床下に収められるバッテリーの影響もあって、不自然な角度で膝を曲げなければならないという欠点もある。また、トランク・ルームの容量はとてつもなく小さく、間口もかなり高いところにあるため実用性は皆無と言っていいだろう。

■どんな感じ?

MGのエンジニア同伴の下で行われた今回のテストでは、サスペンションのセッティングや、15インチのホイールとエコ・タイヤとの相性を厳密に計り知ることはできなかったが、そんな中でもこのクルマはコンセプト・モデルであるにも関わらず、既にシティ・カーとして十分に活躍できる完成度である事がわかった。

乗り心地は実に素晴らしい。路面の凹凸が著しいコースであるにも関わらずEVコンセプトは平然と、そして全く不安なく走ることに徹した。コーナーに飛び込んだ際も、ロールは適度に押さえ込まれ、予想以上に的確な重みのあるステアリングのおかげでコーナリング・グリップにも文句のつけようがなかった。まるで、EVであるが故の車重増加も味方につけているような印象さえあった。

他のどのEVとも同じように最大トルクが瞬時に流れ込んでくるおかげで、0-100km/hに要するタイムは5.3秒。英国の都市部のように終始混雑した道路を走行する場合、このタイムに不満を感じることはないし、アクセルを離したときに生じる回生ブレーキの感覚もごく自然な仕上がりになっている。

約80km-115km程度を巡行が可能で、これに対してさほど長く感じられない読者に対してMGは、バッテリーの消耗が著しい冬季にライトやワイパー、ヒーターにラジオをフル稼働させて走行した上での値、つまりは’現実的’な使用を想定した数値であることを主張している。それでもまお、通勤に使用する大部分のユーザーを満足させる値ではないだろうか。

■「買い」か?

MG EVコンセプトが英国で成功する鍵となるのは、いかに早く販売にこぎつけることが出来るかに尽きる。MGのお偉方は、すでに販売できるレベルまで仕上がっているにもかかわらず、共通の充電ソケットが採用されるまで二の足を踏んでいる状況だ。すでにロエヴェ製の兄弟車があるおかげで開発コストはさほど掛からないのだから、£10,000(148万円)-£12,000(178万円)くらいに価格を設定すればこのクルマは大きな成功をおさめるに違いない。

ライバルであるフォルクスワーゲンUp!や日産リーフはそれぞれ£19,270(285万円)と£16,490(244万円)のプライスタグを掲げるのだから、それらより劣るといった理由ではなく、楽しいドライビングと魅力的な内外装をもって、ライバル車より安くすることに意義があると思うのだ。われわれは、このクルマを早急に販売することを心から望み、また高価すぎない値札をつけないことを祈る。仮にこれら2点を実行すれば、MG史上最高のクルマになることは間違いないだろう。

MG EV コンセプト

価格 NA)
最高速度 130km/h
0-100km/h加速 14.6秒
CO2排出量 0g/km
乾燥重量 1080kg
エンジン モーター
最高出力 70ps/8000rpm
最大トルク 15.8kg-m
ギアボックス CVT

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