【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期テスト(4) 2000kmを走行して

公開 : 2022.04.23 18:00  更新 : 2022.05.03 21:39

AUTOCAR JAPANの笹本健次編集長は、ポルシェ・タイカンを購入。2000kmを走行し、インフラの最新事情や同乗者の声に触れます。

ポルシェアウディによる発表

4月19日に、ポルシェとアウディによる「プレミアム・チャージング・アライアンス」の発表があった。

これによると、今後、150kWの高性能急速充電器のネットワークを、ポルシェ・ジャパンが41拠点50か所、アウディ・ジャパンが展開する52か所の合計102か所で、利用することができる、ということであった。

箱根芦之湯の老舗旅館の前に停まるポルシェ・タイカン。
箱根芦之湯の老舗旅館の前に停まるポルシェ・タイカン

この連載でも書いているように、ポルシェは早くから充電インフラの普及に努めており、私の経営する山梨県甲府市の常磐ホテルにも、既に8kWの普通充電器を2基設置している。

同様に急速充電も90kWのものをポルシェディ―ラーなどには設置しているが、この度、更に強力な150kWの急速充電器の導入にあたり、アウディとの連動をスタートさせることにしたようだ。

昨年、アウディ・ジャパンは高性能なアウディeトロンGTを発表しているが、それに対応する高出力チャージングについては何も公表されていなかった。その解がようやく示された、ということなのだろう。

私はまだ、アウディの8kWの普通充電器については実物を見ていないが、どのようなデザインか、大いに興味がある。

とにかく、急速充電と普通充電の両方でレベルアップしないと、EVの高性能車には、対応できないと思う。

オドメーターの数値は2187kmに

さて、先週、川崎の自宅を出発し、箱根を周遊し、御殿場のアウトレットに寄って帰宅するという、典型的な観光ルートを1泊2日で走ってみた。

基本的には200km程度の走行なので、途中での充電は不要だが、試しに、御殿場のプレミアムアウトレットで、急速充電を行ってみた。

御殿場のアウトレットでは、30分の充電でたった30km分しかチャージされなかった。
御殿場のアウトレットでは、30分の充電でたった30km分しかチャージされなかった。

しかし、この充電器は極く初期の低出力のもので、30分の充電でたった30km分しかチャージされなかった。

実際には、65%まで減少していたものが、71%に増えただけで、どうやら、30kWのものであったようだ。

これでは殆ど役に立たない。

最低、50kWにしてほしいし、無論、今回の150kWのDCチャージが普及すれば、24分で80%まで充電できるから、更に大歓迎である。

箱根のワインディングは、国道1号線を含めまだ昔ながらの狭い車道なので、タイカンの場合、車幅がかなり広いのが気になる。しかし、それ以外は、何の問題もなく、3人乗車でも快適であった。

ただ、リアシートからの声としては、やや乗り心地がゴツゴツとしているのと、静かなので、かえってモーターの唸り音が気になる、という感想がでてきた。

金属スプリングでは、この辺りが弱点になるのかもしれない。

4月21日に、甲府に到着した時のオドメーターの数値は2187kmを示していた。この時、バッテリー残量は丁度50%であった。

試しに3kWのCHAdeMOで充電をセットしてみると、満充電までに16時間17分かかると表示された。すぐに外し、ポルシェの8kWにすると、6時間で満充電となった。

正に計算通りで、これが、更に強化されれば、利便性は高まる。しかし、実際には装置を設置する側の負担は大きくなってしまう、という難点がある。

旅館やゴルフ場など、長時間停車しておく施設では、強力な普通充電器が望ましいが、ディ―ラーやサーキットなどでは、将来、コストはかかるが、150kWの急速充電器が必須となるだろう。

近々、アウディeトロンGTの試乗も行ってみたいと思っている。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。

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