血と汗の結晶な1109psのキング ポルシェ・タイカン・ターボGT(1) ヴァイザッハで−70kg
公開 : 2025.06.27 19:05
1109psのキング、タイカン・ターボGT フォーミュラE譲りのパワー制御ソフトで0-100km/h 2.2秒 繊細なモーター制御に感心 精緻な姿勢制御と安定性 究極的な進化に余地? UK編集部が試乗
確かな地位を堅持する0-100km/h 2.2秒
キング・オブ・ポルシェ・タイカン、「ターボGT」がグレートブリテン島へ届けられた。右ハンドルで。試乗車には、英国では無償オプションとなる、ヴァイザッハ・パッケージが装備されていた。
最近のポルシェは、「GT」を冠した特別・希少な仕様を次々とリリースしている。徐々にパワーとスピードを増長しながら。このタイカン・ターボGTも、その例に漏れない。フェイスリフト版として性能が追求されたといえるが、これには外的要因も大きい。

ロータス・エメヤにテスラ・モデルSなど、1000馬力前後を秘めた電動スーパーサルーンは数を増やしている。ポールスター5も間もなく登場する。タイカンは、これらを相手に確かな地位を堅持しなければならない。それには、一層の能力が必要になる。
果たして、タイカン・ターボGTが得た0-100km/h加速は2.2秒で、最高速度は305km/h。モデルS プレイドは2.5秒、エメヤ Rは2.8秒が主張される。5年ほど前には、タイカン・ターボ Sの速さへ筆者は驚いていたが、近年の王者争いは熾烈だ。
ニュルで4ドアモデルの最速ラップを更新
正真正銘の「GT」なのか、と疑問を抱くポルシェ・ファンはいらっしゃるだろう。少なくとも、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェで、4ドアモデルによる最速ラップを更新している。
前後2基の駆動用モーターと、フロアへ敷かれる97.0kWhのバッテリーは、タイカン・ターボ Sと同一。だがターボ GTには、シリコンカーバイド半導体を採用し900Aの電流に対応する、インバーターを実装。リアアクスルには、強化された2速ATが組まれる。

パワーの制御ソフトはフォーミュラEマシン譲りで、オーバーブースト時だけだが、最高出力1109ps、最大トルク126.2kg-mを実現した。また、カーボンセラミック・ブレーキと、ポルシェ・アクティブライド・アダプティブダンパーが標準装備される。
ボディは、専用エアロキットで空力特性を改善。車重は、先述のブレーキなどの軽量パーツや、カーボンファイバー製バケットシートなどの採用で、5kg削っている。
ヴァイザッハなら−70kg シマウマのよう?
ヴァイザッハ・パッケージを組むと、大きなリアウイングとアンダーボディ・パネルを獲得。他方、バケットシートとウインドウガラスが軽量アイテムへ置換され、カーペットや防音材、リアシートが削られ、更に70kg落とせる。
通常は両側にある充電ポートの片側と、ボーズ社製のプレミアムオーディオも備わらない。写真の大胆なステッカーは、このパッケージに含まれる1つ。シマウマのように見えるという意見を、否定はしない。

ドアを開くと、低いシートポジションがうれしい。座り心地は良好。ステアリングホイールの裏側には、通常のタイカンと異なりシフトパドルが備わるが、回生ブレーキの強さを変えることはできない。
パドルの左側は、回生ブレーキのオン/オフを選ぶため。右側は、ブーストモードを起動するスイッチで、そもそも高速なタイカン・ターボGTに163psが加算される。1000馬力ほどの電気自動車でも、その上昇はしっかり体感できる。