ボルボV60リチャージ・プラグインハイブリッドT6 AWDインスクリプション試乗 BEVに近づいたPHEV

公開 : 2022.05.31 05:45  更新 : 2022.05.31 10:22

ボルボV60リチャージ・プラグインハイブリッドT6 AWDに試乗。BEV時代に向けた肩慣らしに最適な1台です。

BEV時代へのステップ 着実に

今最も旬なボルボといえばブランド初のBEV、クロスオーバーモデルのC40リチャージだろう。

ボルボは他に先駆けて2030年までにすべてのラインナップをBEVに切り替えると明言。

ボルボV60リチャージ・プラグインハイブリッドT6 AWDインスクリプション
ボルボV60リチャージ・プラグインハイブリッドT6 AWDインスクリプション    宮澤佳久

そこに至る中間目標として、2025年までに販売車両の半数をBEVにする(日本市場は40%)ということも発表している。

C40リチャージはその目標を達成するための具体的な提案なのである。

だが北欧のようにBEVにスムーズに移行しはじめている国がある一方、日本のように充電インフラの整備が遅れている例も少なくない。

世界を見渡せば「明日から急にBEVオンリーの生活がはじまっても大丈夫!」というカスタマーはそう多くはないはずだ。

ボルボ自身もその点をよく理解しており、カスタマーの意識と自らが掲げた目標に折り合いをつける作業を丁寧に進めている。

そのはじまりはXC90のトップグレードとして登場したT8ツインエンジンだった。

前輪をガソリンエンジンと電気モーター(CISG=クランク・インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)で、後輪を電気モーターで駆動するAWDモデルである。

今回試乗したV60リチャージは、このT8システムの流れをくんだパワートレインが搭載されたV60のビッグマイナーチェンジ版。

これまで以上にBEVに近づいたPHEVモデルなのである。

そこには「まだBEVには踏み込めない」というカスタマーにBEVのメリットを感じさせつつ、デメリットを生じさせない、丁寧なアプローチが含まれていたのである。

EV性能アップで「電気」が主役に

ビッグマイナーチェンジを経たV60シリーズのラインナップはB4とB5の48Vマイルドハイブリッドのモデルと、T6エンジンを搭載したプラグインハイブリッドハイブリッドのAWDモデルに大別できる。

今回試乗したモデルはV60リチャージ・プラグインハイブリッドT6 AWDインスクリプション。

ボルボV60リチャージ・プラグインハイブリッドT6 AWDインスクリプション
ボルボV60リチャージ・プラグインハイブリッドT6 AWDインスクリプション    宮澤佳久

以前のV60の頂点はT8だったが、これからはT6がトップモデルとなる。ツインエンジンという名称が廃されたT6は内容も変更されている。

2Lガソリンエンジンの最高出力は253psのままだが、スーパーチャージャーが廃されている。

スーパーチャージャーが担っていた低回転域のトルクを46psから71psに増強されたフロントのCISGモーターが補う。

リアモーターも87psから145psに増強された結果、システム最高出力も以前の340psから350psに増強されている。

また駆動用のリチウムイオンバッテリーの容量も10.8kWhから18.8kwhに増えており、EV走行による距離も以前の2倍近い91kmまで増えている。

今回のビッグマイナーチェンジでEVパートの性能が大幅にアップしたことで、平日のお買い物や駅への送り迎えはEV走行のみでこなし、休日の遠出はハイブリッドで、というPHEV本来の使い方の幅が広がったことになる。

ボルボの広報氏いわく「以前はガソリン車にモーターが付いている感じでしたが、今回はBEVにガソリンエンジンが付いている感じ」とのこと。その実力やいかに。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

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