ランクル 250よりUKでは安価 イネオス・グレナディア 3.0T(2) 最高峰の悪路性能 好きな人には強く刺さる

公開 : 2026.02.23 18:10

初代ディフェンダーをリメイクしたグレナディア ラダーフレームにBMWの3.0L直6 飛行機風のダッシュボード 286psでレンジローバーと同等の動力性能 走破性は世界最高峰 UK編集部が試乗

286psでレンジローバーと同等の動力性能

BMW由来で286psの、3.0L 直6ターボを積むグレナディア。最高速度は159km/hに制限されるが、0-100km/h加速を8.0秒でこなす。高速道路への合流へ近い、50-110km/h加速は8.1秒と鋭くないものの、ランドローバー・レンジローバーと同等といえる。

エンジンは洗練され、回転数を高めると直6らしいサウンドを響かせる。3シリーズよりうるさくても、心地良い。アクセルレスポンスが鈍いとはいえ、ZF社製8速ATが上質なマナーで速度上昇を助ける。数段飛ばしのキックダウンも滑らかだ。

イネオス・グレナディア 3.0T フィールドマスター(英国仕様)
イネオス・グレナディア 3.0T フィールドマスター(英国仕様)

急な加減速時にはフロントノーズが上下し、フルブレーキング時はガタガタと振動を伴うが、直進性や安定感は高い。試乗車はBFグッドリッチのオフロード用タイヤを履き、制動距離は長めだったが、オフローダーでは平均値といえる。

運転支援システムも、ひと通り実装されている。動作精度は高く、普通に運転している限り邪魔に感じることはないだろう。オフロードボタンを押すと、岩場などで身を乗り出すことを想定し、シートベルトを外しても警告が鳴らなくなる。

量産モデルで世界最高峰の悪路性能

ステアリングラックは、旧式なボール&ナット式。この構造が採用された理由は、悪路走行で岩へ激しくタイヤが当たっても、ステアリングホイールへ伝わる強い反動を抑えられるから。そのかわり精度が劣り、フロントタイヤのフィードバックは薄い。

険しい路面では、タイヤの向きや接地状況を意識し、進むルートを正確に管理する必要がある。だが現在の量産モデルで、世界最高峰の走破性を備えることは間違いない。

イネオス・グレナディア 3.0T フィールドマスター(英国仕様)
イネオス・グレナディア 3.0T フィールドマスター(英国仕様)

最大渡河水深は800mmで、サスペンションのストロークは前が約230mm、後ろは約300mmと長く、タイヤは路面を掴み続ける。タッチモニターには、ステアリングアングルの情報がリアルタイムで表示される。

前後のオーバーハングが短く、最低地上高は264mm。急な斜面で、バンパーをこする可能性も少ない。エアスプリングで最低地上高を290mmまで高められ、快適性でも優れる、最新のランドローバー・ディフェンダーを超えないとしても。

舗装路で直感性に欠ける操舵感 高速巡航は快適

オンロードでは、2026年仕様でステアリングラックが改良を受け、従来より正確性が増した。しかし、明確に扱いやすくなったわけではない。操舵時の重み付けはやや一貫せず、レシオがスローで、左折時などは想像より腕を動かすことになる。

カーブでは、従来よりステアリングの修正回数は減ったが、郊外の道を飛ばす場合は相応の覚悟と集中力が必要。保守的なスタビリティ・コントロールが、早めに介入する。

イネオス・グレナディア 3.0T フィールドマスター(英国仕様)
イネオス・グレナディア 3.0T フィールドマスター(英国仕様)

低い速度域なら、スプリングが不整を均しリラックスして運転できる。比較的真っすぐ伸びる、高速道路の巡航も充分快適。ドライバーが、両腕を構えている必要性も低い。

四角いボディで風切り音は大きく、110km/hでのノイズ量は初代ディフェンダーと同じ73dBA。とはいえ、そのオリジナルより安楽なことは確か。速度域が高めでも、車内で普通に会話できる。燃費は、試乗時の平均で6.3km/Lだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

イネオス・グレナディア 3.0Tの前後関係

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