ブガッティと合併したリマック 「高すぎる開発費」の改善目指す、若き経営者に聞いた未来像

公開 : 2022.06.07 18:25

新会社ブガッティ・リマックのCEOに就任した、34歳の起業家マテ・リマック。彼の使命の1つは、開発費の改善でした。

ブガッティの事業拡大 新製品の登場も

ここ数年、ハイパーカーに関わる出来事の中で、34歳のマテ・リマックCEOの下、ポルシェを主要技術パートナーに据え、ブガッティとリマックを新会社に統合するというニュースほどは驚くべきものはないだろう。

発表当時、新会社ブガッティ・リマックについて具体的な情報はほとんど明らかにされていなかった。しかし、マテ・リマックCEOに課せられた重要な使命は、モデルの開発コストを改善することであるという。

マテ・リマックCEOは、ブガッティとリマックの合併は「win-win-win-win」だと語る。
マテ・リマックCEOは、ブガッティとリマックの合併は「win-win-win-win」だと語る。

「モデルごとに見ると、ブガッティは非常に成功しているのです」と彼は言う。

「1台1台がどれだけ利益を上げているかを知ったら、多くの人は驚くでしょう、わたしも確かに驚きました。しかし、開発においてはあまり成功していません」

「ブガッティ・ヴェイロンから同じW16エンジンと8速トランスミッションを搭載したブガッティ・シロンを作るのにかかったコストは、リマックがネヴァーラをゼロから開発したときよりも高いのです」

リマックによると、フォルクスワーゲンのとっていた手法は、多くの仕事を他社にアウトソーシングすることだったという。しかし、EVに何十億ドルも投資するか(リマック曰く、「フェルディナンド・ピエヒ亡き今、彼らはそれを望んでいなかった」)、現実的な問題をすべて抱えたままブガッティを消滅させるか、という選択に迫られたのだ。

そして、誰かがリマックとの合併を思いついたのだ。

「この新しい取り決めは、ウィンウィン・ウィンウィン(win-win-win-win)だと思います」

「113年の伝統がある素晴らしいブランドを持つことは、わたし達にとって大きな利益となります。ブガッティには素晴らしい将来性があり、フォルクスワーゲンは株式を保有し、わたし達はコストを抑えることができるのですから」

「従業員にとっても、事業の拡大は喜ばしいことです。そして、お客様にとってもメリットがあります。エキサイティングな新製品が登場するのですから。わたし達は、ただ立ち止まるだけでなく、成長し続けることができるのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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