T7世代に218psのPHEV登場 フォルクスワーゲン・マルチバン eハイブリッドへ試乗 

公開 : 2022.06.23 08:25

VWの3列シートMPV、マルチバンにPHEVが登場。秀でた能力を伸ばすパワートレインだと、英国編集部は評価します。

150psの4気筒ガソリン+115psのモーター

クロスオーバーなどSUVの台頭で、ミニバンなどのMPV市場は欧州では大幅に縮小している。ひと回り大きいシャランは、2021年で終了した。それでもフォルクスワーゲンは、長寿命となったゴルフ・トゥーランをラインナップしている。

さらにもう1台、カリフォルニアの浜辺を想起させるマルチバンもある。フォルクスワーゲン・タイプ2が作り上げたオシャレなライフスタイルのイメージは、最新モデルへも受け継がれているようだ。

フォルクスワーゲン・マルチバン 1.4TSI eハイブリッド・ライフ(英国仕様)
フォルクスワーゲン・マルチバン 1.4TSI eハイブリッド・ライフ(英国仕様)

すでにAUTOCARではT7世代へ進化したマルチバンへ試乗し、完成度の高さへ感銘を受けている。優れたドライビング体験を備え、実用性もすこぶる高い。構成する部品以上の仕上がりといっていい。

マルチバンはマイクロバスのように四角く、貨物バンのように大きな車内空間を持つ。しかしフォルクスワーゲン・ゴルフも採用するMQBプラットフォームをベースとすることで、乗用車のように走りは好印象だ。

加えて、MQBプラットフォームに搭載可能な、幅広いパワートレインにも対応している。今回試乗したプラグイン・ハイブリッド(PHEV)も、その1つに当たる。

150psを発揮する1.4L 4気筒ガソリンターボに、115psの駆動用モーターが組み合わさり、システム総合での最高出力は218ps。6速デュアルクラッチAT(DSG)を介して、前輪を駆動する。駆動用バッテリーは10.4kWhあり、最長49kmをまかなえる。

柔軟に使える広々とした空間の3列シート

マルチバンにはリアのオーバーハングが200mm伸ばされたロングもあるが、今回の試乗車は全長4973mmの標準ボディ。トリムグレードは、英国仕様ではベーシックなライフだった。

ロングボディと標準ボディとの違いは、さほど大きくはない。全長が伸びることと、3列目シートの後ろに、トノカバーで覆えるひと回り広い荷室空間が得られる程度の差といっていい。前後タイヤの間隔、ホイールベースは変わらない。

フォルクスワーゲン・マルチバン 1.4TSI eハイブリッド・ライフ(英国仕様)
フォルクスワーゲン・マルチバン 1.4TSI eハイブリッド・ライフ(英国仕様)

標準ボディでも、マルチバンの車内空間はとても広々としていて、柔軟に使える。180度回転できる2列目は2席か3席かを選択でき、3列目も併せて前後へ大きくスライドが可能。シートが不要なら、取り外すこともできる。

テーブルが仕込まれたセンターコンソールも、レールの上をスライドする。必要に応じて、7シーターか6シーターのミニバンから、ノマド・ワークに最適なミニオフィスへ模様替えするのも簡単だ。

ドライビング体験は、特に魅力的と呼べるわけではない。それでもステアリングホイールは適度に軽く、操舵感は正確で予想しやすい。乗り心地もしなやかで、見た目から想像する以上に良い。

運転姿勢は背筋を伸ばし、座面が高めのコマンドポジション。視点が高く視界に優れ、都市部でも交通状況を把握しやすい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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