オースチン・ヒーレー100をレストモッド ケイトン・ヒーレーへ試乗 親密なメカとの関わり

公開 : 2022.07.04 08:25

親密なメカニズムとドライバーとの関わり

ボディシェルは、現代のロードスターと比べれば柔らかい。だが、充分な剛性感はある。

ステアリングホイールは切り始めの数度が遊びの領域で、クルマに目立った変化は起きない。そこから回していくと、正確で良好な反応が得られる。

ケイトン・ヒーレー(欧州仕様)
ケイトン・ヒーレー(欧州仕様)

タイヤのサイドウォールは厚く、手のひらには感触が伝わってこない。アスファルトを走っているという曖昧な雰囲気だけだが、それも魅力の1つといえる。

エンジンはトルクフルで、1500rpm以下を好まず、4000rpm以上にも回りたがらない。近年のクルマでは得難いほど、メカニズムとドライバーとの関わりが大きい。ノイズやヴァイブレーションも。

このケイトン・ヒーレーの英国価格は、47万4000ポンド(約7915万円)から。JME社がレストアを手掛けたオースチン・ヒーレー100なら、メカニズムが調整済みで特別な仕様を指定しても、その半額以下で購入できる。

ケイトン・ヒーレーの場合は完璧なプロポーションを目指し、職人によってアルミニウムのパネルが丁寧に加工されている。その価値は認めるものの、金額の妥当性に悩む人もいると思う。

少なくとも25名の顧客は、この美しいスタイリングに魅了されたのだろう。確かに筆者も、ボディに見惚れてしまった。彼らにとっては、理想のクラシックなのかもしれない。

親密でアナログなメカニズムによるドライビング体験を、より少ない費用で堪能できる例は多い。とはいえ、EタイプUK社のアンリーシュドの狙いも、ケイトンと共通している。

レストモッドの感じ方は人それぞれ。評価は読者にお任せしよう。

ケイトン・ヒーレー(欧州仕様)のスペック

英国価格:47万4000ポンド(約7915万円/ベース車両を除く)
全長:3835mm(オースチン・ヒーレー100)
全幅:1524mm(オースチン・ヒーレー100)
全高:1251mm(オースチン・ヒーレー100)
最高速度:193km/h
0-100km/h加速:8.0秒(予想)
燃費:−
CO2排出量:−
車両重量:920kg
パワートレイン:直列4気筒2954cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:187ps/5000rpm
最大トルク:26.9kg-m
ギアボックス:5速マニュアル

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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