長く待った甲斐があった 日産アリア 63kWh へ英国試乗 クラス・ベストのインテリア

公開 : 2022.07.16 08:25  更新 : 2022.07.19 15:31

少々遅れ気味の投入となった日産アリア。高級な車内のほか、全体的な訴求力の高さを英国編集部は評価します。

ID.4モデルYに対する日産の回答

今回試乗したのは、ひと足先にバッテリーEV(BEV)へ取り組んだブランドによる、最新のミドルサイズ・クロスオーバー。ようやく、量産版の準備が整ったようだ。

少しおさらいしておこう。このアリアは、フォルクスワーゲンID.4やフォードマスタング・マッハE、テスラ・モデルYといった、各メーカーが新モデルをリリースするカテゴリーへの、日産からの回答といえる。

日産アリア 63kWh イヴォルブ(欧州仕様)
日産アリア 63kWh イヴォルブ(欧州仕様)

英国編集部では数ヶ月前にプロトタイプへの試乗を済ませているが、今回は2022年後半から納車が始まる、欧州仕様の完成版。既にオーダー済みの読者もいらっしゃると思うが、あと数ヶ月待つだけの価値はあると、先に触れておこう。

日産は、2007年に発売したデュアリスがクロスオーバー市場を開拓し、2010年のリーフがファミリーカーとしてBEV市場の先陣を切ったと主張する。その2つが融合したモデルが、アリアということなのだろう。

確かに、ユーザーのニーズを巧みに捉えていたとはいえる。だが、今回の投入が遅れ気味だったことは間違いない。

英国の販売価格が決定する前に、他のメーカーはBEVのクロスオーバーをラインナップに加えてしまった。あまり積極的とはいえなかったトヨタでさえ、欧州市場での動きは早かった。その結果、日産は従来以上に多くの注目を集める必要性に迫られていると思う。

セグメント・ベストといえるインテリア

しかしながら、アリアは充分な強みを身に着けてきた。保守的なファミリー層向けのモデルとしては、しっかりした個性もある。特に、スタイリッシュなボディ以上に、インテリアへ感心する人も多いだろう。

ジュークやリーフなどの、既存モデルへ与えられていたデザインとの関係性は、大胆に断ち切られている。車内は唸るほど上級な仕上がりといえ、鮮明な12.3インチ・モニターやヘッドアップディスプレイなど、デジタル技術もふんだんに盛り込まれている。

日産アリア 63kWh イヴォルブ(欧州仕様)
日産アリア 63kWh イヴォルブ(欧州仕様)

ダッシュボードに埋め込まれたエアコンの操作パネルは、優しく光る。センターコンソールは前後にスライドでき、車内移動を容易にしてくれている。小物入れも随所に用意され、利便性にも配慮されている。このクラスでは、ベストかもしれない。

なだらかに傾斜するルーフは、後方の視認性を若干犠牲にしているとはいえ、車内空間は大きめのサイドガラスのおかげで明るく風通しが良い。前後のシートまわりにも余裕がある。ただし、フロントシートの下には、リアシートの人の足を潜らせる隙間がない。

標準装備や内装に用いられる素材、仕立てなどを観察するほど、4万5000ポンド(約750万円)前後のBEVとしては飛び抜けて豪華に感じる。5万ポンド(約835万円)を超えるトップグレードとなると、そこまでのアドバンテージはないとはいえ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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