リラックスした運転に丁度良い キア・ニロ PHEVへ試乗 欧州での成功車種が2代目へ

公開 : 2022.07.28 08:25

欧州市場で好調なキアを支えるクロスオーバーが2代目へ。バランスに優れた完成度を英国編集部は評価します。

NA 1.6L 4気筒+電気モーターで182ps

先代のキア・ニロは、素朴なスタイリングのファミリー・クロスオーバーだったが、欧州で大きな成功を残した。航続距離の長いバッテリーEV(BEV)版も選択でき、ファミリーカーとして電気自動車を求める人から大きな支持を集めた。

2代目へモデルチェンジしたニロは、その成功に囚われることなく、大胆なイメージチェンジを図ってきた。それでも実用性に優れ、扱いやすいサイズのクロスオーバーだという特長は変わらない。

キア・ニロ・プラグイン・ハイブリッド 4(欧州仕様)
キア・ニロ・プラグイン・ハイブリッド 4(欧州仕様)

既に何度かご紹介済みだが、2代目ニロがベースとするのは、新しいK2と呼ばれるプラットフォーム。パワートレインの選択肢には、従来から大きな違いはない。一般的なハイブリッドとプラグイン・ハイブリッド(PHEV)、BEVが選べる。

今回試乗したのは、PHEV版のニロ。自然吸気の1.6L 4気筒ガソリンエンジンに、84psの駆動用モーターが組み合されている。システム総合での最高出力は182psと、車格としては充分以上。トランスミッションは、6速デュアルクラッチ・オートマティックだ。

駆動用バッテリーの容量は11.1kWhあり、EVモードとして、最長58kmを電気の力だけで走行可能。英国で一般的な家庭用充電器なら、2.5時間でフル充電にできるという。

リラックスして運転するのに丁度いい

PHEVのニロは、発進を駆動用モーターだけで賄うため、基本的に非常に静か。0-100km/h加速の時間は9.6秒で俊足とはいえないものの、スタートダッシュは想像以上に鋭い。

エンジンが目覚めると車内へノイズが響いてくるものの、振動は良く抑え込まれている。といっても、回転数を高めない限りうるさいとは感じないだろう。一方で、勢いの良い加速を求めても、エンジン音の割にパワフルさは感じられない。

キア・ニロ・プラグイン・ハイブリッド 4(欧州仕様)
キア・ニロ・プラグイン・ハイブリッド 4(欧州仕様)

ファミリー・クロスオーバーらしく、ニロは穏やかに運転するのが良い。エンジンの回転数を高めても、楽しさが増すわけではない。

ドライブモードにはスポーツ・モードも用意されている。ステアリングホイールの重み付けが増し、エンジンの出番が増え、ステアリングホイール裏のパドルは回生ブレーキの切り替え用から、6速ATの変速用に機能が変わる。

ステアリングへ伝わる感触が、希薄なことは変わらない。日常的には扱いやすい設定といえるけれど。

そのかわり、ニロのPHEVはリラックスして運転するのに丁度いい。試乗車は18インチのアルミホイールを履いており、市街地での乗り心地は若干落ち着きが足りなかったが、全体的には良好。高速道路でもしっとり安定している。不安感なく目的地を目指せる。

EVモードで滑らかな加速を味わうと、その印象は更に良くなる。今回の試乗では、高速道路などを含めた複合的なルートで、48kmほどを駆動用モーターだけで走行できた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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