中古で買うなら? BMW Mモデル 海外の自動車ライターが選ぶ至高の1台

公開 : 2022.08.12 18:25

マイク・ダフ:BMW M3(E90)

Mモデルの中古車相場に期待しすぎると損をすることが多いが、2007年のM3が上昇気流に乗っていることは明らかだ。それは、超レアなE46 M3 GTRを除いて、唯一のV8エンジン搭載M3であるという事実が後押ししているのである。

このエンジンは、E60 M5の5.0L V10と密接な関係があり、同じリニアなレスポンスと回転を愛する、機械として驚異的なものだ。ピークパワーは8300rpmで発生する。

BMW M3(E90)
BMW M3(E90)

ロッドベアリングが空回りするなどの弱点もあるが、修理や部品供給のインフラが充実しており、積極的に交換するオーナーが多いようだ。

E60 M5が不機嫌でギクシャクしたAMTに悩まされるが、M3にはもっとスムーズでスマートなDCTが用意されている。このクルマに非常にマッチしたトランスミッションで、発売当時は多くの人がDCTを選んだが、6速MTはその希少性から現在では割高になっている。

ランニングコストは高いが、ドライビング・エクスペリエンスは十分に熟成されている。10km/l弱という燃費も、非常に良い数値と見なすことができるだろう。

E92クーペやE93クーペカブリオレなど、車種も豊富。E90セダンは希少かつ高価だが、わたしの個人的な考えでは最も見栄えのするものである。まともなトランスミッションを搭載したベイビーM5と考えてほしい。

リチャード・レーン:BMW 3.0 CSL(E9)

1973年の「バットモービル」は誰もが知っているが、その前のキャブレター仕様の3.0 CSLはあまり知られていない。わたしが思うにこの初期のCSLは、おそらくBMWロードレーサーの最も純粋な表現であり、燃料噴射装置とともに巨大なウィングとバンパーを追加して滑稽なほどハイレベルの存在となったバットモービルよりも、エレガントに感じられる。

キャブのCSLは、軽量化に重点を置いた、整然としたモデルであった。ドア、トランク、ボンネットはすべてアルミ製で、ウイングとルーフの鋼材は、ドナー車両であるCSよりも薄いもの。フロントバンパーはなく、リアサイドウインドウはアクリル製で、その他は薄いラミネート製である。

BMW 3.0 CSL(E9)
BMW 3.0 CSL(E9)

遮音材はほとんど使われず、トランクやボンネットのロックもラッチ式に変更された。さらにパワーステアリングもなく、直6とリミテッド・スリップ・デフが働く間はバケットシートが体を固定してくれるだけという最小限の仕上げ。こうして、実に約180kgの軽量化が図られたのだ(新型M4 CSLの約2倍)。

英国では、BMWの販売代理店が好んだ高級感が薄れたため正式には販売されず、わずか169台しか輸入されていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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