機敏なシャシーが魅力的 アルファ・ロメオ・トナーレ HV160 Tiへ試乗 +−が混在の走り

公開 : 2022.09.03 08:25

操縦性は極めて軽快 もどかしい加速

ガソリンの消費量を抑えるため発進は電気モーターで賄われるが、アクセルペダルへの反応もD以外では鈍い。Aモードでは、エンジンが目を覚ますまでの待ち時間も長い。

Nモードでは、エンジンが約50km/hから15km/hほど加速させるのに、3.5秒も必要だった。ちなみに、ディーゼルエンジンを積んだシトロエンベルランゴの場合、同じ中間加速を約1秒も短くこなす。

アルファ・ロメオ・トナーレ・ハイブリッド160 Ti(英国仕様)
アルファ・ロメオトナーレ・ハイブリッド160 Ti(英国仕様)

7速デュアルクラッチATには、マニュアルモードがある。シフトパドルがないTiでもシフトレバーで選べるから、もどかしい時は左手を動かすと良いだろう。

Dモード以外では、結果的にアクセルペダルを深く踏むことになり、燃費も伸ばしにくい。今回の試乗では、14.2km/L程度だった。

そのかわり、アルファ・ロメオらしく操縦性は極めて軽快。コーナーではボディロールが抑えられており、フォード・プーマSTのように乗り心地も犠牲になっていない。このクラスで、これほど意欲的に旋回していくモデルは他に例がない。

左ハンドル車は路肩に近く、一般的には乗り心地で不利になりがち。アルミホイールも20インチと大きいものだったが、褒めにくい英国の舗装でも多くの不整を滑らかに均していた。それでいて、姿勢制御も褒められる。

ステアリングホイールは軽く回せ、クイックなレシオでロックトゥロックは2.2回転。敏捷性を求めて切り始めの反応が鋭いかわりに、クルージング時の安定した印象は薄い。

魅力的に感じさせる機敏なシャシー

これでパワートレインがもっと活発なら、と考えてしまう。より滑らかに郊外を走らせたり、リズムを刻むようにカーブを抜けたりできると思うのだが。

穏やかなエンジンのミニ・カントリーマン(クロスオーバー)と、筆者は記憶が重なった。全高のかさむボディで、ハッチバックのミニへ並ぶ敏捷性を感じてもらうため、クイックなステアリング・レシオが与えられていた。ホドホドの動力性能に。

アルファ・ロメオ・トナーレ・ハイブリッド160 Ti(英国仕様)
アルファ・ロメオ・トナーレ・ハイブリッド160 Ti(英国仕様)

機敏なシャシーは、トナーレを魅力的なものにしていると思う。だがハイブリッド160 Tiの場合は、秀でたサルーンのジュリアや兄貴分のステルヴィオほど、ドライバーの気持ちを鷲掴みにはできないようだ。

アルファ・ロメオ・トナーレ・ハイブリッド160 Ti(欧州仕様)のスペック

英国価格:3万9995ポンド(約660万円)
全長:4530mm
全幅:1840mm
全高:1600mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:8.8秒
燃費:15.9-17.6km/L
CO2排出量:130-144g/km
車両重量:1525kg
パワートレイン:直列4気筒1469ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:160ps(エンジン)/20ps(電気モーター)
最大トルク:24.4kg-m(エンジン)/5.6kg-m(電気モーター)
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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