より直感的で滑らかに アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグインHV(2) ブランドへの期待値は高い

公開 : 2025.11.14 18:10

クロスオーバー人気に乗りたいトナーレ 2026年仕様でアップデート スポーティでソリッドさが増した内装 直感的で滑らかに動くパワートレイン クイックなステアリング UK編集部が試乗

直感的で滑らかに動くパワートレイン

アルファ・ロメオの牽引役を担う、アルファ・ロメオ・トナーレ。充分なモーターとバッテリーを与えたと主張されるマイルド・ハイブリッドだが、運転するともう少し電気の力が欲しく思える。洗練度は低くないが、エンジンの出番が多くノイズも大きい。

他方、269psのプラグイン・ハイブリッドはパワフル。アクセルレスポンスに優れ、余力が頼もしい。駆動用バッテリーに、充分な電気が蓄えられていれば。

アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグイン・ハイブリッド Q4スポーツ・スペチアーレ(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグイン・ハイブリッド Q4スポーツ・スペチアーレ(欧州仕様)

2026年仕様では、1.3L 4気筒ターボエンジンは欧州の排気ガス規制、ユーロ6eへ対応。最高出力は10psほど減じているが、路上では殆ど違いを感じられない。むしろ、従来より遥かに直感的で滑らかに動くようになった。

エンジンとモーターのバトンタッチは、驚くほどシームレス。ガソリンと電気、どちらのエネルギーで走っているのか、意識しなくなるほど。

充電量が乏しくなると低下するレスポンス

バッテリーの充電量が乏しくなると、1.3Lエンジンのややガサツなノイズが響き出す。レスポンスも低下し、ドライバーの気持ちを削いでしまう。アクセルペダルを深く踏み込むと制御が切り替わり、活発さが復活するけれど。

駆動用バッテリーを充電する影響で、低速域での変化は特に大きい。好感触なアルミ製パドルを備えるが、マニュアル・モード時の6速ATも、期待ほど鋭く変速しない。それでも、マイルド・ハイブリッドよりトナーレと相性に優れるパワートレインではある。

アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグイン・ハイブリッド Q4スポーツ・スペチアーレ(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグイン・ハイブリッド Q4スポーツ・スペチアーレ(欧州仕様)

ブレーキには電動ブースターが備わり、ペダルの踏み心地は柔らかめ。回生ブレーキを実装するが、摩擦ブレーキと調和し、制動力の立ち上がりへ不自然さはない。

シャシーは、トレッドが8mm広がったこと以外、アップデート前とほぼ変わらない。操縦性が鋭くなったと主張されるものの、見た目のやる気が増したことの方が、効果としてはわかりやすいかも。

クイックなステアリング 高速で増す安定感

ステアリングの反応は、しっかりクイック。一方でフィードバックが薄く、手応えは今ひとつ。ボディロールは抑制されているが、スポーティなSUVとしては小さくない。

プラグイン・ハイブリッドは四輪駆動だから、アクセルオン時の優れたバランスを期待したくなるが、エンジンが担当するフロントと、モーターが担当するリアの協調性は今ひとつ。ヘアピンカーブが迫っても、颯爽と旋回しようとは思わせにくい。

アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグイン・ハイブリッド Q4スポーツ・スペチアーレ(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグイン・ハイブリッド Q4スポーツ・スペチアーレ(欧州仕様)

乗り心地は、通常のダンパーが組まれるマイルド・ハイブリッドの方が、傷んだアスファルトでの安定性で僅かに勝る。アダプティブダンパーが備わるプラグイン・ハイブリッドは、落ち着きを得るのに若干苦労していた。高速道路では、安定性が高まるが。

今回の試乗で、電気だけで走れた距離は58km。サーキットも交えた複合的なルートでの燃費は、平均で17.6km/Lとなった。高速道路の巡航では、11.3km/Lへ悪化していた。充電速度は、最高で7.4kWと遅い側にある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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