スコットランド発 本格オフロードEV、商用車として北米導入 農場や金鉱向けに販売

公開 : 2022.08.30 06:05

スコットランドの自動車産業が約40年ぶりに動きはじめます。新興企業のマンローは、商用EVを2023年から北米で販売すると発表。高い悪路走破能力を誇る本格オフローダーです。

スコットランドから商用EV登場

スコットランドのEV新興企業マンロー・ビークルは、新型のオフロード車を2023年から米国で発売する予定だ。

数少ない商用EVの1つで、ロック式ディファレンシャル付きのフルタイム四輪駆動を搭載。最高出力376psを発揮する。1回の充電での航続距離は270km、価格は8万8500ドル(約1200万円)からとなっている。

マンロー・ビークルの4x4 EV
マンロー・ビークルの4×4 EV

商用車に求められる積載量と牽引力は、トヨタランドクルーザーランドローバーディフェンダーをベースとする内燃機関の商用モデルに引けを取らない。

スコットランドでは1981年2月のプジョータルボ工場の閉鎖以来、まとまった数の自動車を生産していない。マンローの事業により、およそ40年ぶりに国内の自動車産業が稼働することになる。

マンローの商用EVは、EVの販売・リース・流通の専門企業であるWyre社との提携により、2023年から米国で販売される予定である。フロリダ州の農場、テキサス州の油田、ネバダ州の金鉱、カナダの林業など、さまざまな業界をターゲットとしている。

2023年の予定生産台数は50台で、その半数が左ハンドル車となる見込み。2024年には500台、2025年には2500台、2030年には年間5000台の生産を目指している。

また、グラスゴーに構える生産施設の能力を超える需要が発生した場合には、米国現地で組み立てられる完成車キットを販売する計画もある。キットの場合、国内製造車にのみ適用される米国の7500ドル(約100万円)のEV補助金を受けられるようになる。

マンローのCEOであるラス・ピーターソンは、次のように述べている。

「北米はマンローにとって重要な成長市場であり、当初の予定よりも早く計画を実現するためにWyre社と提携できることを嬉しく思います」

「2023年の生産枠の半分を、米国市場向けに開発された左ハンドル車に充て、Wyre社を通じて顧客に納車する予定です」

Wyre社の英国部門マネージングディレクターであるレベッカ・ハンセンは、「米国は、このような本格オフローダーの巨大市場です。約8万8500ドルという価格も魅力的なものです」と話している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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