M仕立てのFRホットハッチ BMW M135i 3.0L直6ターボで320ps 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.10.22 08:25

質素な見た目のハッチバック・ボディに、M社が仕上げた直6を積んだM135i。英国編集部が小粒なBMWの魅力を振り返ります。

後輪駆動のシャシーに3.0L直6ターボ

クルマは見た目だけで判断してはいけない。2011年に発表された2代目1シリーズは、スタイリングで選ばれるBMWではなかったかもしれない。だが、一風変わったフロントマスクの裏側には、過去に例がないようなホットハッチの素地が隠れていた。

そんなF20型の1シリーズに、M135iが追加されたのは2012年。2015年にフェイスリフトを受け、2016年まで生産が続けられた。同年にはアップデートされたM140iが登場。2019年にFFとなった3代目へバトンを繋いでいる。

BMW M135i(F20型/2012〜2016年/英国仕様) 
BMW M135i(F20型/2012〜2016年/英国仕様) 

現在の英国の中古車市場には豊富な数のM135iが流通しており、9000ポンド(約148万円)程度から選べる。日本市場でも、意外とタマ数は少なくない。

このお値段で、M社が仕上げたパワフルな3.0L直列6気筒ターボエンジンが手に入る。最高出力320psを発揮し、みなぎるトルクと聞き惚れるサウンドを謳歌できる。しかもシャシーは、運転しがいのある後輪駆動だ。

トランスミッションは8速オートマティックのほか、英国では6速マニュアルも選択できた。またボディは5ドアのほか、よりスタイリッシュな3ドアも設定されていた。

動力性能に不足はなく、0-100km/h加速は4.6秒。48km/hから112km/hの中間加速も、6速MTなら3速にシフトダウンさせれば4.1秒でこなせる。6速に入れたままでも、8.1秒という粘り強さを備えていた。

可変パワステにアダプティブMダンパーも

滑らかなストレート6は、低回転域から不足ないパワーを発揮し、意欲的に回転数を高めていく。新車当時には8速ATの人気は低調だったが、現在では受け止められ方が異なるだろう。クイックに反応し、キビキビ変速してくれるユニットだ。

M135iには、ドライブ・パフォーマンス・コントロールと呼ばれるドライブモードが搭載され、エコ・プロからスポーツ+まで幅広い特性が選べる。また、アダプティブMダンパーも装備し、モードに応じて姿勢制御を引き締めることも可能としていた。

BMW M135i(F20型/2012〜2016年/英国仕様) 
BMW M135i(F20型/2012〜2016年/英国仕様) 

パワーステアリングは可変レシオで、スポーツ・モード以上では操舵時の重み付けがプラス。スタビリティ・コントロールの介入も控えめになり、思う存分振り回すことを許してくれる。

多くのユーザーの場合、最終的には街乗りでコンフォート・モードに落ち着くようだ。舗装のきれいな峠道に足を進めたのなら、スポーツ・モードの出番となる。

M135iには、賛否あるランフラットタイヤが装備されていなかった。ややノイジーなミシュラン・パイロットスーパースポーツを履き、乗り心地を担保しつつ、確かなグリップ力でパワーを受け止めた。

ステアリングフィールも滑らか。正確性が高く反応は素早く、切り込んでいくほどレシオが変化し鋭さも増していく。直進性の良さと、回頭性の良さを両立させていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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