490ps+455kmの実力は高い ジェネシス・エレクトリファイドGV70へ試乗 足りない差別化

公開 : 2022.11.06 08:25

ヒョンデの上級ブランドがSUVのEVを発売。完成度は高いものの、ブランド内での差別化が乏しいと英国編集部は評価します。

総合490psを発揮するEVのSUV

身内でのライバル関係は、適度に競争心を煽るかもしれないが、好ましいものとは限らない。自動車メーカーの場合、通常はそれを避けたがる。似た特徴を備えたモデルを2つ並べても、ビジネス上はメリットが多くないためだ。

しかし、そんなことがヒョンデ・グループのジェネシスでは起きている。今回試乗したエレクトリファイドGV70のライバル関係になりそうな、クロスオーバーのGV60が売られているのだから。

ジェネシス・エレクトリファイドGV70(欧州仕様)
ジェネシス・エレクトリファイドGV70(欧州仕様)

近年好調のジェネシスは、日本では馴染みが薄いものの、急速にモデル数を拡大中。通常のGV70はミドルクラスの上級SUVで、BMW X3アウディQ5などが競合モデルになる。パワートレインは、ガソリンとディーゼルのエンジンが選べる。

今回試乗したのは、エレクトリファイドGV70。駆動用バッテリーと前後のモーターで走る、バッテリーEV(BEV)のSUVだ。エレクトリファイドとは電動化を意味する英単語で、一般的にはハイブリッドを強調するような場面で用いることが多い。

このGV70には駆動用モーターが2基載り、総合490psを発揮する。駆動用バッテリーは77.4kWhの容量があり、航続距離は455kmが主張される。ボディサイズは全長が4715mm、全幅が1910mm、全高が1630mmある。

急速充電は最大240kWまで対応。英国価格は、少々強気な6万4405ポンド(約1062万円)からだ。

車内空間や運転体験で共通する2台

これらの数字は基本的にパワートレインをシェアする、ひと回り小さいクロスオーバー、ジェネシスGV60と多くが共通している。内燃エンジン版が存在しない、BEVのみの展開という違いはあるが。

GV60は全長が200mm短いものの、効率に優れるBEV用のプラットフォームを採用することで、GV70と同等の車内空間が与えられている。乗員側の空間には若干ゆとりがありつつ、荷室は約70L容量が小さい。

ジェネシス・エレクトリファイドGV70(欧州仕様)
ジェネシス・エレクトリファイドGV70(欧州仕様)

世の中には、近未来的なスタイリングを好む人もいれば、従来的なカタチを好む人もいる。ジェネシスは、その両方の好みに対応させようと考えたのかもしれない。BEVなことを見た目で主張したくなければ、長いボンネットを持つGV70に惹かれるだろう。

実際、エレクトリファイドGV70とGV60との共通性は、ドライビング体験にも表れている。驚くほどの加速力やドライブモードでの変化、回生ブレーキの反応、唸るほどの高速道路での静寂性などは、両車で一致するといっていい。その評価も共通したものだ。

仕上がりを褒められるインフォテインメント・システムも同一。若干クラシカルな雰囲気を漂わせる、上品なインテリアデザインも。

若干異なるのは乗り心地だろう。エレクトリファイドGV70の場合、サスペンションのスプリングが少しソフト。酷く荒れた舗装では安定性を失いがちながら、大きな隆起部分などは優しくやり過ごしていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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