見事な調律のFK8型 ホンダ・シビック・タイプR 過去10年のベストは? お手頃ドライバーズカー選手権(1)

公開 : 2022.11.12 09:45

前輪駆動のポルシェと表現したくなる

シビック・タイプRを特別に仕立てている要素の1つが、オーバースクエア設計の2.0L 4気筒ターボエンジン。ブースト圧の上昇に若干のラグがあるものの、高回転域まで気持ちよく吹け上がる。シャシーの能力を、いかんなく引き出せる。

今日の5台のなかでは、ホイールさばきも秀逸。乗り心地は基本的に悪くないものの、ダンパーをコンフォート・モードに切り替えれば、現実的な毎日の移動手段になってくれる。前輪駆動のポルシェ911 GT3と表現したくなるほど。

ホンダ・シビック・タイプR GT(FK8型/2017〜2021年/英国仕様)
ホンダ・シビック・タイプR GT(FK8型/2017〜2021年/英国仕様)

6速MTのシフトフィールも素晴らしい。リアタイヤを自在に振り回せる、確実なフロントグリップを担保するシャシーバランスも出色。ブレーキペダルの感触は、本当にポルシェのそれへ近い。

しばらく運転に浸って、冷静さを取り戻す。審査員の1人、ジェームス・ディスデイルも満面の笑みを浮かべ、目を大きく開いて降りてくる。言葉を聞かなくても、彼の感想は想像できる。次に乗るべきクルマに悩む。

今回は日本車が4台も含まれている。世界のクルマ好きは、ドイツとイタリアに足を向けて寝られないかもしれない。だが、ほかにも重要な国があることを再認識させられる。

4気筒ターボで前輪駆動の次に選んだのは、3気筒ターボの四輪駆動。トヨタGRヤリスのステアリングホイールを握ることにした。前後にLSDが組まれ、シビック・タイプRとは対局にあるといっても良いからだ。

この続きは(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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