リムジンかつスポーツサルーン BMW 760i xドライブへ試乗 V8マイルドHV搭載

公開 : 2022.11.17 08:25

新マイルドHVを獲得した、V8エンジン版の7シリーズ。シャシーやパワートレインの能力の高さを英国編集部は評価します。

英国ではロングホイールベースのみの7代目

BMWの最上級サルーン、7シリーズが7代目へモデルチェンジした。先代とは一線を画す内容といえ、英国ではロングホイールベースのみが提供される。

パワートレインの選択肢は拡充されている。2022年らしくプラグイン・ハイブリッド(PHEV)も選べるが、兄弟モデルとして、バッテリーEVのi7も登場したのだ。

BMW 7シリーズ 760i xドライブ(北米仕様)
BMW 7シリーズ 760i xドライブ(北米仕様)

北米を含む多くの市場では、充電作業が必要ない従来的なパワートレインへの需要も小さくない。今回試乗した760i xドライブが積むのは、V型8気筒のマイルド・ハイブリッド。先代の750Li xドライブの後継に当たり、M社が開発へ関わっている。

新しい7シリーズはイチから開発し直され、ボディサイズは明らかに大型化している。全長は5391mmで、全幅は1950mm、全高は1544mmある。

そのおかげで、車内空間は6代目7シリーズと比べてゆとりを増した。内装は大幅に高級感を高めており、リアドアのグリップ部分に小さなタッチモニターが内蔵されるなど、新しい技術もふんだんに取り入れられている。

760i xドライブのエンジンは従来と同じ、BMWが開発した4.4LのV8ツインターボ・ガソリン。M社の関与を示すように、N63型からS63型へ名称が改められている。

最高出力は750Li xドライブ比で13ps増強され、543psを獲得。1800rpmから5000rpmで生み出される最大トルクは、76.3kg-mで変わりない。

マイルドHVのモーターは8速ATに内蔵

7代目のパワートレインで注目すべき部分が、ZF社製8速ATに内蔵された、電圧48Vで稼働するマイルド・ハイブリッドの駆動用モーター。最高出力は18psと小さいものの、最大トルクは20.4kg-mと太く、加速時にエンジンをアシストしてくれる。

さらにエグゾースト・マニフォールドはクロスバンク構造になり、ターボチャージャーも一新。エンジンのクランクシャフトや冷却系、オイルポンプなども新しくなっている。オイルサンプは軽量化されたという。

BMW 7シリーズ 760i xドライブ(北米仕様)
BMW 7シリーズ 760i xドライブ(北米仕様)

実際に760i xドライブを発進させてみると、スポーツ・モード時のレスポンスに感心させられる。出だしは力強く、中間加速は粘り強く、高回転域へ迫るほどエネルギーが高まっていく。

BMWの四輪駆動システム、xドライブは常に不足ないトラクションを維持。V8エンジンのパワーを、効果的に路面へ伝達してくれる。

ステアリングホイールの裏側にはシフトパドルが装備され、優れた動的能力を引き出しやすい。高負荷状態でも、滑らかかつ迅速に変速をこなしていた。Mモデルではないにしろ、V8エンジンが放つサウンドにも聴き応えがある。

駆動用モーターのトルクで得られる、加速時のメリットは明確。車重は先代から295kgも増えて2270kgあるが、勢い良く速度を高めていく。

高速道路でのクルージング時にも有効。本来印象的なまでに洗練されているが、エンジンを積極的に停止させることで、一層静かな移動空間を生み出していた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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