リムジンかつスポーツサルーン BMW 760i xドライブへ試乗 V8マイルドHV搭載

公開 : 2022.11.17 08:25

能力の幅に驚く テールスライドも可能

シャシー側も先進的といえ、セルフレベリング機能付きのエア・サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式でリアがマルチリンク式。電子制御のアダプティブダンパーと組み合わされる。

アンチロールバーには電動油圧システムを採用し、コーナーなどでのボディの傾きを制限。リアタイヤの角度を自動的に制御する、アクティブ四輪操舵システムも搭載する。

BMW 7シリーズ 760i xドライブ(北米仕様)
BMW 7シリーズ 760i xドライブ(北米仕様)

ブレーキはスチール製ディスクながら、直径は大きい。フロントには4ポッドキャリパー、リアには1ポッドのフローリングキャリパーが採用された。

サイズや車重を踏まえると、7シリーズの能力の幅には驚く。コンフォート・モードで高速道路を流していても、スポーツ・モードでワインディングを駆け登っていても、印象的なまでに落ち着いている。

ダイナミック・スタビリティコントロールをオフにすれば、スポーツプラス・モードで派手なテールスライドに持ち込むことすら可能。しかも、不安感なく。

これに貢献しているのが、軽く回せ正確に反応するステアリングホイール。敏捷性では、アウディA8メルセデス・ベンツS 500Lを凌駕していると感じた。オンロードでの能力は、明確な魅力といって良いだろう。

乗り心地も素晴らしい。路面の細かな凹凸だけでなく、周期の長いうねりによる揺れも見事に抑え込んでいる。高速域ではロードノイズや風切り音も小さく、長時間穏やかな気持ちで移動できるに違いない。

リムジンでありスポーツサルーン

760i xドライブは、フロントシートでステアリングホイールを握っていても、リアシートでくつろいでいても極めて快適。しかも、操縦性にはBMWらしい個性が与えられている。ドライバーは、実際よりひと回りコンパクトにすら感じるかもしれない。

7代目へモデルチェンジしたBMW 7シリーズは、フラッグシップとしてリムジンの能力を磨き込んできた。だが同時に、スポーツサルーンとしての実力も決して低くない。目をみはる新世代の登場といえそうだ。

BMW 7シリーズ 760i xドライブ(北米仕様)
BMW 7シリーズ 760i xドライブ(北米仕様)

ちなみに今回は北米での試乗だったが、760i xドライブの英国導入は予定されていないという。

BMW 7シリーズ 760i xドライブ(北米仕様)のスペック

北米価格:11万7930ドル(約1745万円)
全長:5391mm
全幅:1950mm
全高:1544mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:5.2秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:255g/km
車両重量:2270kg
パワートレイン:V型8気筒4395ccツイン・ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:543ps/5000rpm
最大トルク:76.3kg-m/1800-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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