ブランドの歴史の一部を所有する アストン マーティン DB11 V8かV12か 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.11.27 08:25

ツインターボのV8かV12が選べるブリティッシュ・グランドツアラー。いま味わえる魅力を英編集部がご紹介します。

スポーティな体験ならV8が僅かに勝る

2016年を振り返えると、映画ラ・ラ・ランドが公開され、ブラジル・リオ・デ・ジャネイロでオリンピックが開かれた。その年に、アストン マーティンDB11をリリースしている。

この流麗なグランドツアラーは、英国伝統のブランドを成功へ導くか窮地へ追い込むか、分かれ目になる重要なモデルだった。実際は順調に受注台数を伸ばし、その後も運命を決めるようなモデルが登場したものの、現在における主力の一角をなしている。

アストン マーティン DB11(2016〜2019年/英国仕様)
アストン マーティン DB11(2016〜2019年/英国仕様)

当初のDB11が搭載していたのは、5.2Lの排気量を持つV型12気筒ツインターボ。最高出力608ps、最大トルク71.3kg-mを発揮し、最上位に君臨するグランドツアラーに不足ない走りを与えていた。

このV型12気筒エンジンを積んだ標準のDB11は、2019年にDB11 AMRが登場し交代。最高出力は639psへ引き上げられ、現在も販売が続いている。

一方で、ツインターボの4.0L V型8気筒エンジンが2017年に登場。DB11 V8を名乗り、当初は510psを発揮した。その後の小改良を経て、現在の最高出力は535psを誇る。

このV8エンジンがメルセデスAMG由来であることは、AUTOCARの読者ならご存知かもしれない。例えば、メルセデスAMG GTに積まれているものなどと関係性は深い。

一層スポーティなドライビング体験を求めるなら、DB11 V8の方が僅かに勝る。ただし明確な違いではなく、趣が少し異なる程度ではある。エンジンが軽量なおかげでフロントノーズの反応がシャープで、コーナーでの機敏さは一枚上手。ライン調整もしやすい。

上質な乗り心地 素晴らしい身のこなし

DB11でもう1つの大きな魅力が、極めて上質で落ち着いた乗り心地。サスペンションにはビルシュタイン社のアダプティブダンパーが装備され、GT、S、S+とモードを変えられる。

最もしなやかなGTモードであっても、理想的なグランドツアラーらしく素晴らしい身のこなしを実現させている。郊外の一般道を素早くこなし、長距離の高速移動は快適。能力の幅の広さを実感できるはずだ。

アストン マーティン DB11(2016〜2019年/英国仕様)
アストン マーティン DB11(2016〜2019年/英国仕様)

ステアリングの反応や重み付けも素晴らしい。適度にクイックではあるが、高速道路で過敏に感じるほどではない。手のひらには路面やタイヤからの確かな情報が伝わり、操る自信を高めてくれる。

ドライビングポジションにも不満はない。インテリアは、フロアから天井まで豪華な素材が惜しみなく用いられている。フロントシート側にはゆったりした空間が与えられ、その後ろには子供を載せられる+2のリアシートが備わる。手荷物を置くのにも丁度いい。

荷室は、大人2人の2泊分の荷物が問題なく積める。英国なら、南フランスで過ごす週末旅行の移動手段としても好適といえる。

上級グランドツアラーとして、カスタマイズ・オプションはふんだんに提供されていた。それだけに現在の中古車市場を確かめてみると、多様なDB11が存在することがわかる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    オリバー・ヤング

    Oliver Young 

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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