現実的に楽しめる旧車 MGBロードスター 英国版クラシック・ガイド 目立つ弱点なし 後編

公開 : 2022.11.27 07:06

英国で最も売れたスポーツカー、MGB。運転が楽しく維持しやすいクラシックの魅力を、英国編集部がご紹介します。

理想的なパッケージングのスポーツカー

MGBは、1960年代から1970年代にかけてのスポーツカーとして、理想的なパッケージングで仕立てられていた。優れたスタイリングに確かな動力性能、狭すぎず快適に運転できる車内空間と座り心地の良いシート、実用的な荷室など特長は数多い。

乗り心地と操縦性のバランスも良好。今回協力いただいたMGBの場合、リアのリーフスプリングがアップデートされ、テレスコピック・ダンパーを装備することで、オリジナルのコンセプトを保ったまま一層走りに磨きが掛けられていた。

MGBロードスター(1962〜1980年/英国仕様)
MGBロードスター(1962〜1980年/英国仕様)

特に先進的な装備はなかったが、MGBは極めてバランスの良いところに落とし込まれている。市場もそれを判断し、かなりの数が売れている。1.8L直列4気筒エンジンはトルクフルでパワフル。不満のない走りを実現していた。

初期の5マイルバンパー、通称ラバーバンパー・モデルは若干シャープさを失っていたが、改善は可能。車高が持ち上げられ、リアのアンチロールバーが標準装備になり、フロントのアンチロールバーは太くなっている。

1968年からは北米で排気ガス規制が強化され、北米仕様のMGBも最高出力が絞られている。1975年仕様では、シングルのストロンバーグ・キャブレターで71psまで落とされた。欧州仕様に戻すことは可能だ。

1976年からペダル配置が改められ、ヒール&トウでのシフトダウンが可能に。同時期にサスペンションもチューニングされ、操縦性の良さを取り戻している。

過度に心配すべき弱点などはない

電動パワーステアリングや5速MT、モダンなサスペンションなど、多様なアップデートも可能。基本的にMGBの走りを良くしてくれるはず。日常的に運転したい場合は、無鉛ガソリン仕様へのエンジンの改良をオススメしたい。

容姿の美しさという点で評価されるMGBは、やはりオリジナルのクロームメッキ・スチールバンパー。ラバーバンパー自体は、スチール製フレームに黒い樹脂製カバーが付けられたもので、ゴム製マウントを介して固定されている。

MGBロードスター(1962〜1980年/英国仕様)
MGBロードスター(1962〜1980年/英国仕様)

無骨なラバーバンパーを初期型のスチールバンパーへ交換するスタイルは、人気のある改造の1つ。だが、作業は簡単ではなくコストも掛かるため、仕上がりがイマイチなものもある。完璧な仕事なら、MGBの価値を大きく高めてくれる。

1969年後半からは、ヘッドレストはオプションながら、リクライニング機能付きの快適なシートを獲得した。また、年式によってダッシュボードの仕上げなども若干異なるので、細かな違いを気にする場合は注意したい。

とはいえ、どのバンパーであってもMGBは魅力的なブリティッシュ・スポーツカーだ。現実的に楽しめるクラシックとして過度に心配すべき弱点などはなく、万が一の出費もさほど覚悟しておく必要がないのは大きな強みだといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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