世代交代しても1番イイ ホンダ・シビック・タイプRへ英国試乗 熟成された能力 前編

公開 : 2022.12.02 08:25

11代目へ進化したホンダ・シビックのタイプRが英国上陸。先代同様ホットハッチの王者と呼べるのか、英編集部が確認しました。

プラットフォームは10代目の進化版

先代のホンダシビック・タイプRは、ホットハッチ界のポルシェ911 GT3のようなクルマだった。ファミリーカーとしても使えるスポーツカーでありながら、ひときわハードコアな内容が与えられていた。

ご存知の通り、シビックは11代目へ進化。6代目となる新しいFL5型シビック・タイプRも、英国上陸を果たした。この地の場合、電動化技術が搭載されていない唯一のホンダ車となる。

ホンダ・シビック・タイプR(欧州仕様)
ホンダ・シビック・タイプR(欧州仕様)

ところが、英国への輸入台数は「数1000台単位ではなく、数100台程度に留まる」と、同社担当者のレベッカ・アダムソン氏は表明している。ハイブリッドやバッテリーEV(BEV)の販売台数を増やし、メーカー平均のCO2排出量は抑えられているにも関わらず。

ホンダは2024年までに英国で販売する新車の22%を、ゼロエミッション・モデルにする必要がある。われわれに残された時間は短い。そんな渇望を知ってか、シビック・タイプRには4万6995ポンド(約780万円)という強気の英国価格が与えられた。

さて、気を取り直そう。新しいタイプRのベースが、通常のシビックであることは先代までと同様。プラットフォームは、10代目が採用していたモノの進化版に当たる。

ワイド&ローなプロポーションを与えるべく、ホイールベースは35mm伸ばされ、左右のタイヤの間隔、トレッドは15mm広げられている。大きくなったぶん、車重は30kg増しの1429kgになった。この増加には、排気ガス微粒子フィルターの追加も影響している。

2.0L 4気筒ターボは330psと42.7kg-mを発揮

ボディシェルの改良で静的なねじり剛性は15%増えているが、ホンダの技術者はそれに留まらないと説明する。接合部の接着面積が先代から4倍も増えており、剛性はさらに高められているものの、それを数字として計測することは難しいという。

少なくとも、強固なボディであることに変わりはない。シリアスなメカニズムを搭載するのに、一層相応しい基礎骨格になったというわけだ。

ホンダ・シビック・タイプR(欧州仕様)
ホンダ・シビック・タイプR(欧州仕様)

現代の前輪駆動のハッチバックとして、ドライブトレインはとても魅力的。エンジンは2.0L 4気筒ターボガソリンで、基本的には先代からの進化版。フライホイールの軽量化や吸気量の増大、排気効率の改善といったチューニングが加えられている。

その結果得た最高出力は、330ps/6500rpm。最大トルクは、42.7kg-mを2200rpmという低い回転域から生み出す。先代のシビック・タイプRは320psと40.7kg-mだった。

トランスミッションも、先代と同じ6速のマニュアル。ゲートに再設計を受けており、レバーを動かした際の横方向の剛性が高められている。特に2速から1速への減速がしやすくなったという。既に優れたいたものを、一層磨き込んでいる。

フロントタイヤで330psを受け止めるべく、機械式リミテッドスリップ・デフも装備する。フロント・サスペンションには、ホイールセンターとキングピンのずれを最小限にするため、2軸ストラット(デュアルアクシス)を採用。トルクステアを軽減した。

リア・サスペンションはマルチリンク式。前後には、減衰力が変化するアダプティブダンパーが組まれる。

記事に関わった人々

  • マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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