運転する最中の満足度はとても高い。車重は1524kgに達するけれど、適切な敏捷性と柔軟性を持ち合わせ、ミドル・レンジの力強さもきちんと確保している。ハードに走らせた際のエグゾースト・ノートも聴くに気持ちがいい。

ガソリン・エンジン単体では150psと25.4kg-mを発生するが、キック・ダウンの大勢になれば電気モーターが54psと10.2kg-mを援助する。したがって合計では204psと35.6kg-mを発生するというわけだ。各トルクを単純に足し合わせれば最大トルクは35.6kg-mをわずかに上回るのだが、クラッチをオーバーワーク状態に陥らせるのを防ぐ目的でやや抑制されている。

ちなみにゴルフGTIの直噴2.0ℓ4気筒ユニットは220psを発生。トルクはGTEと同値を発生させることも参考にされたい。

120kgのリチウムイオン・バッテリーとガソリン・タンクの搭載位置は前後重量バランスを調整する役割もある。先に述べたガソリンやディーゼル・エンジンを含む全モデルのなかで、最も優れたバランス配分をえるのが、このGTEなのだ。GTIほど甘美な操舵感覚は持ち合わせいないが、操舵していて気持ちが良いと思える仕上がりなのは間違いない。そのうえ乗り心地もまずまずだと感じた。

本テストでは市街地と高速道路、カントリー・ロードを走らせたが、その際の複合サイクル燃費は25.8km/ℓ。公表値の66.6km/ℓには残念ながら及ばなかった。しかし実際の燃費は、日常的な使用において大いに経済的だと言えるのではないだろうか。

■「買い」か?

実力を考慮すれば、大いにお勧めできる一台だ。運転するのに特別なコツなど全く必要ないし、洗練のレベルも非常に高い。それでいて高い経済性と充分な動力性能を持ち合わせているのだ。

しかし史上最強の完璧なゴルフであるかどうかは議論の余地がある。とくに荷室容量に関しては、簡単に見過ごすことはできない。

新たな試みを取り入れたグレードが成功を収めるかどうかは、GTEの魅力を標準のゴルフ以上に見出だせるかどうかにかかっている。英国での販売価格は£28,000(483万円)から。決して安価だとは言い難いプラグ-イン・ハイブリッドのゴルフの行く末を見守っていこう。

(グレッグ・ケーブル)

フォルクスワーゲン・ゴルフGTE

価格	£28,000(485万円)
最高速度	217km/h
0-100km/h加速	7.6秒
燃費	66.6km/ℓ
CO2排出量	35g/km
乾燥重量	1524kg
エンジン	直列4気筒1.4ℓ+モーター
最高出力	207ps
最大トルク	35.7kg-m
ギアボックス	6速デュアル・クラッチ