何か良いことあった? 2022年振り返り 海外の自動車ライターが選ぶ「最高の思い出」

公開 : 2022.12.31 15:05

クセの強いAUTOCAR英国編集部のライターたちが2022年を振り返り、それぞれ「最高の瞬間」を語ります。マクラーレンでの車中泊から親友との旅行、トヨタの勇気ある姿勢など……。来年も良い年になりますように。

クセの強い英国記者が選ぶ2022年の思い出

AUTOCAR英国編集部のライターたちが2022年を振り返り、「最高の思い出」として選んだのは、クルマ同士をぶつけ合う乱闘レース、親友とのドライブ旅行、新型ミニバンの予想外の走りの良さなど、バラエティに富んだものとなった。

自動車業界が大きく変化した激動の年でも、変わらないものがある。それは、クルマから得られる永遠の思い出とシンプルな喜びだ。英国の自動車ライターが選ぶ最高の瞬間を、ともに見ていこう。

個性的な英国編集部のライター陣が選ぶ、2022年の最高の思い出。
個性的な英国編集部のライター陣が選ぶ、2022年の最高の思い出。

ジム・ホルダー

高級車にも乗れるという幸運な人生の中で、今年最も記憶に残っているのは、科学者ギル・プラット氏と過ごした1時間だ。トヨタ・リサーチ・インスティチュートのCEOであるプラット氏は、「限りあるバッテリー資源を、CO2削減のために最大限利用すること」を提唱し、場合によってはEVよりもハイブリッド車を優先することを明言している。

こうした姿勢は、世界各国の方針と相反し、EV推進派を怒らせるものだろう。とても勇気のある発言であり、ほぼ必然的に彼自身とトヨタを「利己的」「遅い」「時代に逆行している」といった批判にさらすことになる。

世界最大の自動車メーカーであるトヨタは、これからどのような道を歩んでいくのか。
世界最大の自動車メーカーであるトヨタは、これからどのような道を歩んでいくのか。

彼は正しいかもしれないし、間違っているかもしれない(彼自身、確信が持てないことを認めている)が、変革を実現させるにはチャレンジャーが必要だ。保守的で有名な世界最大の自動車メーカーが、批判も承知でそれに名乗りを上げることは、わたし達全員のメリットにつながるはずだ。

ジャック・ハリソン

ジャガー・スポーツXJR-15でビスター・スクランブル(英国の自動車イベント)に行きませんか?」というInstagramの素敵なメッセージが印象的だった。トム・ウォーキンショーが開発したこのモンスターマシンに、僕はいつもうっとりしてしまう。

ル・マンを制したXJR-9をベースに、ワンメイク・シリーズに参戦したモデルだ。静粛性皆無の6.0L V12エンジン、硬いレーシングサスペンション、ヘッドセットが必要なほど騒々しいキャビンなど、XJR-15は道路を走ってはいけないようなクルマである。

公道を走れるレーシングカー、XJR-15のV12サウンドが忘れられない。
公道を走れるレーシングカー、XJR-15のV12サウンドが忘れられない。

でも、本当に良かった。回転域が上がっていくときのエンジンの唸り声は忘れられない。笑顔が止まりなくなる。実現させてくれたデイヴィッド氏とルード氏に感謝。

ジョン・エヴァンス

オーバルのサーキットで、剣闘士のように派手にペイントされた12台のハッチバックが文字通り「激突」している光景を見て、血が騒がないわけがない。この夏、わたしはオールダーショット(イングランドの町)でバンガーレース(クルマを破壊し合う競技)を取材した。ハンドルを握ることはできなかったが、繰り広げられる大乱闘を見ているだけでもスリリングだったし、参加者たちに会えたのも嬉しかった。

古いクルマが手に入りにくくなり、価格も上がっているため、バンガーレースは衰退しつつあるという噂もある。だが、わたしが観戦したときは、人数は減っているというものの、多くの観客がクルマとドライバーに声援や怒号を飛ばしていた。

古いクルマをぶつけ合うバンガーレースを観戦。手に汗握る「大乱闘」だった。
古いクルマをぶつけ合うバンガーレースを観戦。手に汗握る「大乱闘」だった。

忘れられない光景は、左の後輪が車体に対し直角に曲がったヴォグゾールコルサが、迫ってくるライバルをスターターモーターの動力で邪魔しているところ。わたしだったら怖い。コルサの運転手? 彼は笑っていたよ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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