なぜ、コロナ禍でも高級車が売れるのか? ランボルギーニが、過去最高の販売を記録した背景

公開 : 2023.01.17 10:45

ランボルギーニが「過去最高の販売台数」を記録。富裕層を引き付ける戦略はどのようなものなのでしょう? 2022年の実績とともに分析します。

2022年は9233台を販売

1月10日にランボルギーニ本社から発表された2022年の営業結果によれば、前年比で10%増となる9233台が世界にデリバリーされ、過去最高記録を樹立した。

ランボルギーニの成長は今に始まったものではない。

販売の大半を支えるのがSUVの「ウルス」。日常使いもできるモデルとあって富裕層の支持を得た。新たに高性能バージョンの「ウルス・ペルフォルマンテ」がシリーズに加わり、今後さらに記録を伸ばすか。
販売の大半を支えるのがSUVの「ウルス」。日常使いもできるモデルとあって富裕層の支持を得た。新たに高性能バージョンの「ウルス・ペルフォルマンテ」がシリーズに加わり、今後さらに記録を伸ばすか。    ランボルギーニ

1999年にVWグループのアウディ傘下に入り、弱点だった信頼性の低さを克服し、ようやく本来のポテンシャルで勝負できる企業に変わったからだ。

2000年に296台だった年間総販売台数は、2003年には大台を超える1305台に達する。その後、右肩上がりの成長を遂げ、2008年には2430台、2015年に3245台に至った。

大きな変革点となるのが、初のSUVモデルの「ウルス」が2018年に加わったことだ。好評を持って受け入れられ同年は5750台へと急拡大し、2019年は8205台へと急伸する。

2020年はパンデミックの影響でラインが止まる事態から7430台に減らすものの、周到に計画された2021年になるとコロナ前を上回る8405台へと盛り返した。

拡大するSUV市場 1番売れている国は?

2022年は全世界の販売台数が9233台を記録し、前年比で10%増となった。モデル別で見るとウルスが予想通り全体の約6割となる5367台(2021年比7%増)を占めている。

ベントレーベンテイガにより誕生したプレミアムSUVカテゴリーは、ウルスに続きロールス・ロイスカリナンも加わって確立され、現在も好調なセールスを記録しているのだ。

2022年のランボルギーニの業績一覧。EMEA(欧州/中東/アフリカ)は前年比7%増。アメリカは10%増。アジアは実に14%のプラスを記録している。全地域で過去最高を更新した。
2022年のランボルギーニの業績一覧。EMEA(欧州/中東/アフリカ)は前年比7%増。アメリカは10%増。アジアは実に14%のプラスを記録している。全地域で過去最高を更新した。    ランボルギーニ

そしてフェラーリプロサングエの登場により、スーパースポーツの覇権争いがプレミアムSUVに持ち込まれた。ウルスも高性能バージョンの「ウルス・ペルフォルマンテ」で対抗するなど、さらにマーケットが拡大する気配だ。

なお、ウラカンは3113台(同20%増)と変わらぬ人気の高さを示している。アヴェンタドールは2022年9月に生産を終えたが、前年とほぼ変わらぬ753台がデリバリーされた。

国別の販売台数トップ5の順位は前年と変わらず、アメリカが2721台(前年比10%増)で首位をキープし、中華圏–本土・香港・マカオは1018台(同9%増)で続く。

3位のドイツは808台(同14%増)、イギリスが650台(同15%増)、日本は546台(同22%増—伸び率はトップ)で5位の座を堅持した。

日本での登録台数も急伸している。日本自動車輸入車組合(JAIA)の記録によればランボルギーニが統計に初めて登場するのは1988年で、その台数は僅か21台だった。

その後100台の壁を越えたのは2004年だった。ウラカンが加わった2015年に349台に伸ばしたのを契機に、コロナ禍前の2019年まで右肩上がりの成長を遂げる

2022年の登録台数は571台(JAIA発表値、並行モデルの新規登録分を含む)で、2021年の457台から24.9%増という好結果を記録してみせた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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