新世代の登場でお手頃に メルセデス・ベンツSクラス(W222型) 英国版中古車ガイド

公開 : 2023.01.17 08:25

新型が登場し、少しお手頃価格で楽しめるようになった数年前の最高級。英国編集部がW222型の魅力を振り返ります。

運転手とその雇い主を深く満たすSクラス

世界でメルセデス・ベンツSクラスが支持されるのには、相応の理由がある。ラグジュアリー・サルーンの象徴であり、運転手とその雇い主を深く満たしてくれるからだ。

新世代のW223型が登場し、ひと世代前のW222型は近づきやすい価格になっている。最上級のマイバッハを選ばない限り。

メルセデス・ベンツSクラス(W222型/2013〜2020年/英国仕様)
メルセデス・ベンツSクラス(W222型/2013〜2020年/英国仕様)

初期型なら、2万ポンド(約320万円)ほどの予算で英国ではオーナーになれる。走行距離は11万km前後ながら、中古車価格はトヨタのハッチバックを下回る。

この価格帯に属するSクラスは、英国では主にS 350d。2014年から2017年式では3.0L V6ディーゼルターボを搭載し、255psを発揮したモデルだ。

2017年にフェイスリフトを受け後期型になり、286psの2.9L直列6気筒ディーゼルターボへ変更されている。惜しくも、日本への導入は叶わなかったが。

S 350dは中古車価格だけでなく、良好な燃費も魅力。V6で18.5km/L、直6で15.6km/Lがうたわれていた。後期型で数字が振るわないのは、現実に近いWLTP値で計測されたため。実際の条件では、より優れていると考えていい。

電動化技術に興味をお持ちなら、ハイブリッドも選べた。フェイスリフト前では、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)のS 500eが燃費では優等生。最高出力306psを誇りながら、35.7km/Lのカタログ値が主張されている。

後期型では、同じくPHEVのS 560eが1番。488psと際立つ動力性能を備えつつ、平均で43.5km/Lがうたわれていた。高速クルーザーとしての能力にも不満はないはず。

最新のライバルと並べても霞まない洗練性

ちょいワルなAMGというチョイスもある。S 63には、593psを発揮するV8ツインターボ・ガソリンが載っている。これで満足できないなら、V12ツインターボが630psを叩き出したS 65も選べる。いずれも、0-97km/h加速を4秒以下でこなす俊足ぶりだ。

当然のように、乗り心地は素晴らしい。標準ホイールベースでも全長は5116mmもあるが、操縦性も優れている。ステアリングは正確性が高く、タイヤのグリップ力は充分以上ある。

メルセデス・ベンツSクラス(W222型/2013〜2020年/英国仕様)
メルセデス・ベンツSクラス(W222型/2013〜2020年/英国仕様)

高速道路での存在感もひときわ。Sクラスのように、威風堂々と流れるように走るモデルは限られる。洗練性では、最新のライバルと並べてもまったく霞んではいない。

上質なインテリアもオーナーの心を掴むはず。標準装備は極めて充実し、追加したい機能は思い浮かばないだろう。ドライビングポジションも良好で、操作系のレイアウトも考え抜かれ、優れた視界が確保されている。

スイッチ類の重み付け1つとっても抜かりはない。ダッシュボードの中央には12.3インチのインフォテインメント・タッチモニターが据えられ、ハイテク感も漂う。ロータリー・ダイヤルが備わり、直感的な操作も可能だ。

大きなボディサイズを活かし、車内空間にはゆとりがある。もしリアシートで一層の贅沢さを味わいたいのなら、ロングホイールベース版も設定されていた。

荷室容量も大きいが、PHEVの場合は駆動用バッテリーが荷室を侵食してしまう。それでも、1週間分の旅行の荷物は問題なく積めるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    オリバー・ヤング

    Oliver Young 

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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