ビッグ・シトロエン復活 C5 Xの乗り心地は? ID 19 XM 新旧ハイドロを比較 後編

公開 : 2023.03.04 09:46

柔らかい特性が異なるCX 5と先輩モデル

シトロエンCX 5へ乗り換えると、シャシーの全体的な洗練性や、車内の遮音性の高さへ気が付く。30年や50年前のモデルと比べて、磨き込まれた印象を受けるのは当然といえるだろう。

シトロエン・ファンは、古いハイドロの走りを「魔法のじゅうたん」だと表現する。半世紀も前のシトロエンが、最新モデルより洗練性や快適性で勝ると信じるマニアもいる。確かにソフトだが、前方から強く吹く風も実感できる。

シトロエンC5 X ピュアテック130 シャインプラス(英国仕様)
シトロエンC5 X ピュアテック130 シャインプラス(英国仕様)

ただし、CX 5のプログレッシブ・ハイドローリック・クッション(PHC)はDSより静かで、XMより優秀といえるが、柔らかい特性も異なる。従来のように路面から浮いた印象はなく、速度域を問わず、走行中はタイヤの動きが伝わってくる。

加減速時のピッチング制御でも、先輩には及ばない。速度域が上昇するほど、一方的にソフトさが増すようだった。

とはいえ車内は静かで、より速く、外界との隔離性に優れ運転しやすい。ドライバーの操作に対する反応も好印象で、労力は遥かに少ない。アダプティブ・クルーズコントロールなど、現代的な装備も一式備わる。すべての面で、CX 5はラグジュアリーだ。

ハイドロニューマチックは、世界で最も独創的だったメーカーが現在のようなシガラミのない時代に発明した、革新の技術といえた。2023年に乗り比べても、アドバンテージを実感できるほど。

現在の同社は、ステランティス・グループの一員として、落ち着いたブランドになったように思う。それでも、ビッグ・シトロエンの復活に感謝したい気持ちは変わらない。

シトロエンID 19とXM、C5 Xのスペック

シトロエンC5 X ピュアテック130 シャインプラス(英国仕様)

英国価格:3万1160ポンド(約501万円/試乗車)
全長:4805mm
全幅:1865mm
全高:1485mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:10.4秒
燃費:14.7-17.2km/L
CO2排出量:137g/km
車両重量:1418kg
パワートレイン:直列3気筒1199ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:130ps/5500rpm
最大トルク:23.4kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック

シトロエンID 19(欧州仕様)

英国価格:1745ポンド(新車時)
全長:4826mm
全幅:1791mm
全高:1464mm
最高速度:152km/h
0-100km/h加速:18.4秒
燃費:10.3km/L
CO2排出量:−
車両重量:1168kg
パワートレイン:直列4気筒1911cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:84ps/4500rpm
最大トルク:14.4kg-m/3500rpm
ギアボックス:5速マニュアル

シトロエンXM(英国仕様)

シトロエンXM(英国仕様)
シトロエンXM(英国仕様)

英国価格:1万7655ポンド(新車時)
全長:4708mm
全幅:1793mm
全高:1392mm
最高速度:204km/h
0-100km/h加速:11.5秒
燃費:12.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1310kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:129ps/5600rpm
最大トルク:18.0kg-m/4800rpm
ギアボックス:4速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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