復活のランチア 4月に次世代EVコンセプト公開予定 歴史的名車のレトロデザイン採用へ

公開 : 2023.03.01 20:05

現在イプシロンのみを一部地域で販売するランチアは、ブランド再興を掲げ、次世代EVコンセプトを今春公開する予定です。過去の名車のデザインを採り入れたEVを複数展開し、欧州全土に販売を拡げます。

過去からインスピレーション得たデザイン

イタリアの自動車メーカーであるランチアは、4月に次世代EVのコンセプトモデルを公開する予定だ。

ランチアはスタイル重視のEVブランドへの移行を目指しており、アウレリア、デルタ、ストラトス、037ストラダーレなど、過去の名車に影響を受けたデザインを積極的に採り入れていく方針である。

ランチアはブランド再興を目指して複数のEVを展開していく。
ランチアはブランド再興を目指して複数のEVを展開していく。

2015年以降、ランチアはイプシロンのみを一部地域で販売している。フィアット500ベースのイプシロンは最近改良を受けたものの、生産開始から12年目に突入している。

ブランドの再出発と母国イタリア以外の市場への復帰を任されたルカ・ナポリターノCEOは、1960年代に代表される歴史的名車の「ドルチェヴィータ」精神を再び呼び起こすことを掲げている。

ナポリターノCEOは最近の記者会見で、「栄光ある過去はインスピレーションの限りない源であり、イタリア以外の国や市場に向けた次世代製品への飛躍につながるでしょう」と述べている。

レトロなデザインを採り入れつつ、土台となるプラットフォームは次世代のパッケージングとパフォーマンス、機能性を重視したものになるという。

これによりランチアは、ステランティス傘下の兄弟ブランドであるアルファ・ロメオやDSと肩を並べることになる。

兄弟ブランドはそれぞれ電動化への道を歩んでおり、ハイブリッド車とEVに対応したステランティスのSTLAプラットフォーム(スモール、ミディアム、ラージの3種類)を全車種に導入する。

イプシロン、デルタ復活へ

STLAは、ランチアの10年にわたる変革プログラムの中核をなすものだ。ナポリターノCEOは「2024年から2028年まで、2年ごとに2車種の新型車を投入する計画です」とAUTOCARに語っている。

「ランチア初のEVである新世代イプシロンから始まり、(エンジン車の販売を終了する)2026年に新しい最上級セダンを発売し、2028年にはデルタを再生させます」

次世代EVデザインの土台となるという「Pu+Ra Zero」コンセプト
次世代EVデザインの土台となるという「Pu+Ra Zero」コンセプト    ランチア

ナポリターノCEOは、新型イプシロンは「基本的に準備ができている」と断言したが、市販車の発表はすぐには行われないと予想される。

ランチアは、4月にイタリアで開幕する見本市「ミラノサローネ(Milan Design Week)」で新しいコンセプトモデルを発表する予定だ。

「新しい市販車に非常に近いものになるでしょう」とナポリターノCEOは言う。

同氏によると、次世代車のインテリアの少なくとも50%はリサイクル可能なファブリックで作られる予定だという。同時に、ランチアは次世代コックピットの開発で、イタリアの著名なインテリアデザイン会社であるカッシーナと提携しているため、高級感を失うことはないとのことだ。

ランチアは今後、再展開の「第一段階」としてイタリアと他の欧州4か国で販売する計画で、その後欧州全体に拡大する。フランス、ドイツ、英国もこれに含まれると予想されているが、確定ではない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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