ジムニーが! ムーヴが! 入金したのに納車されず 奈良県のスズキ/ダイハツ正規販売店で納車詐欺? 代理人弁護士から「受任通知」

公開 : 2023.04.10 07:20

奈良県北葛城郡広陵町にある「スクエアオートモーティブ」でクルマを購入したにもかかわらず、納車されぬ事案が続出しています。

スズキダイハツの「優秀正規販売店」として営業

2022年1月13日にAUTOCAR JAPANがメディアとして最初に報道した長野県の新車販売店「デュナミスレーシング」の納車詐欺事件は、元社長の小谷徹被告に対して今年2月27日に詐欺罪(被害者3名)としての初公判がおこなわれた。

その後、4人目、5人目の起訴が確定しており、今後も再逮捕→起訴を繰り返していくと考えられる。

奈良県北葛城郡広陵町にある「スクエアオートモーティブ」(同社フェイスブックページより)
奈良県北葛城郡広陵町にある「スクエアオートモーティブ」(同社フェイスブックページより)

そしてこのたび、筆者が情報提供をいただいたのはまたしても「納車詐欺」的な事案である。

納車前に全額を代表本人の個人口座に入金させながらクルマを発注せず、当然納車もされない……。というあたり、デュナミスレーシングと状況が非常によく似ているが、大きな違いはこのお店がスズキとダイハツの「正規販売店」であることだ。

いわゆる「サブディーラー」的な存在であるが、さらに、スズキ優秀正規販売店/ダイハツ優秀正規販売店/JAF取扱店(優秀賞獲得)と、それぞれ「優秀」の称号も与えられている。

その店舗とは奈良県北葛城郡広陵町にある「SQUARE AUTOMOTIVE」(スクエアオートモーティブ)である。中古車情報誌のクチコミ評価は異常なほど高く、しかもスズキやダイハツの「優秀正規販売店」とあれば、信用してしまうのも無理はない。

グーグルマップのストリートビューでお店の様子を見ると展示スペースには展示車両や試乗車両が置かれ、入口近辺にはディーラーでよく見かける横断幕や宣伝ポスターなどが見える。

駐車場には正規販売店らしく、「SUZUKI」や「DAIHATSU」などの他、JAFやKUMHOタイヤ、TOYOTIRES、ダンロップなどののぼりが何本も立っている。

その店から購入し、入金を済ませ納車を心待ちにしていた人々のところに、弁護士からの「受任通知」が届いたのは3月末のことだった。

2021年秋にジムニーをスクエアオートモーティブに注文し入金した被害者から筆者に届いた「受任通知」には驚く内容が記されてあった。

「納車できない、返金もできない」 そんなことが許される?

受任通知の日付は令和5年3月29日である。

「当職らは、後記債務者の受任を受け、同人の破産申立の任に当たることになりましたことを通知致します。債権者の皆様には、大変ご迷惑をかけますが,債務者の窮状をご理解していただいたうえ、次のことをお願いします」。このような文章から始まる受任通知をまとめると以下となる。

・債務者は20名以上の債権者に対し,少なくとも合計6000万円の負債をおっており、支払不能状態となっている。

・加えて30名以上の自動車購入者に対して合計6000万円の自動車の売買代金相当額の所有権移転債務が未履行のまま残っているが、債務者には納車できるだけの資力がない。

・債務者,債務者の家族への連絡や返済の要求など一切することなく、問い合わせは当職(弁護士)らに対してのみおこなうこと。

・債務者との間で締結した売買契約は履行不能の状態です。契約を解除したい場合は債権調査票にその旨の記載をお願い致します。※契約を解除しても返金されるわけではない

このほか、担当弁護士の氏名や連絡先、そしてスクエア代表者N氏の生年月日や住所などの記載もあった。

被害者の何人かが担当弁護士に問い合わせたところ、契約を解除したところでお金は返ってこないとの回答だったという。

要するに、30名以上からクルマ購入代金合計6000万円以上を受け取っているが納車できる資力もないし、返金もできない。窮状を理解して債務者やその家族への連絡や返済要求はするな。という非常に身勝手で一方的なお願いである。

正規販売店だから安心して購入し、納車を心待ちにしていた被害者は突然、届いた受任通知に強い憤りを感じている。一人当たりの平均被害額は約200万円だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。

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