グループで1番売れてるEV フォルクスワーゲンID.4へ試乗 シンプルで親しみやすい運転体験

公開 : 2025.04.11 19:05

VWグループで最多売バッテリーEVのID.4 航続は最長545km 他のID.で既視感ある内装 練られたパッケージング 充分にパワフルでスムーズ 直感的な操縦性に滑らかな乗り心地 英編集部が評価

VWグループで最多売EVのID.4 航続は最長545km

フォルクスワーゲンのバッテリーEV、ID.シリーズの中で、最も重要なポジションにあるのが「4」だ。フォルクスワーゲン・グループ全体で見ても、1番多く売れている電動モデルとなっている。

ID.4の寸法は、全長4584mm、全幅1852mm、全高1634mmで、人気のフォルクスワーゲン・ティグアンと大きくは違わない。クーペ風シルエットで僅かに全長が伸ばされた、兄弟モデルのID.5と合わせると、2024年に約18万2000台がラインオフした。

フォルクスワーゲンID.4(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4(英国仕様)

登場は2021年だが、このクラスの競争は厳しさを増している。韓国勢のキアヒョンデが台頭し、欧州ではステランティス・グループのプジョーオペル、北米からはテスラが、競争力の高いライバルを投入している。

フォルクスワーゲンも静観することなく、ID.4はアップデート。駆動用バッテリーの容量は52kWhと77kWhの2種類から選べるようになっている。航続距離は、前者で最長355km、後者では最長545kmが主張される。

駆動用モーターは、サルーンのID.7から導入の始まった新ユニットへ更新。ソフトウエアも、同じタイミングでアップデート済みだ。

そのAP550ユニットは、従来のモーターより遥かに強力で、後輪駆動のID.4 ピュアは169ps、ID.4 プロ・パフォーマンスでは286psを発揮。ツインモーターで四輪駆動のID.4 プロ 4モーションでは290ps、ID.4 GTXでは339psに達する。

他のID.で既視感ある内装 練られたパッケージング

スタイリングは、ID.シリーズらしく緩やかにカーブした親しみやすいもの。プラットフォームはMEBで、ID.3よりホイールベースとトレッドが拡大されている。

インテリアも、他のID.での既視感がある。ダッシュボードの形状はフォルクスワーゲン・ゴルフに似ているものの、デザインはミニマリスティック。実際に押せるハードスイッチは、殆ど見当たらない。

フォルクスワーゲンID.4(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.4(英国仕様)

ステアリングホイールは、スポーク部分にクルーズコントロールやオーディオなどを操作できる、タッチセンサーが備わる。反応が悪く、誤って触れてしまうことも多いが。

インフォテインメント・システムは最新版。直感的に一新したわけではないが、大幅に安定性は増している。温度調整などを行うタッチセンサーのスライダーには、イルミネーションが内蔵された。

内装の素材は、全体的に納得できるもの。シートは座り心地が良く、ドアパネルのデザインは有機的。従来のフォルクスワーゲンとは、異なる雰囲気が醸し出されている。

ダッシュボードには、IDライトと呼ばれる、光と色を用いたインターフェースを実装。カーナビの方角や駆動用バッテリーの充電状態など、多くの情報を点灯パターンで教えてくれる。

人間工学は良好。フロントガラス下端が低く、前方視界が広く、居心地は良い。シフトセレクターは、メーターパネル横からステアリングコラム側へ移動した。

後席側は広々で、パッケージングが入念に練られたことは明らか。荷室容量は543Lあり、同クラスでは有利な側にある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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