異次元にスリリング スパルタンモーター・スパルタン ホンダ K24型から466ps 前編

公開 : 2023.05.24 08:25

パワーウエイトレシオは666ps/t

このスパルタンは、量産仕様へ限りなく近いものの、プロトタイプ。とはいえ実際に運転してみれば、見事な仕上がりにあることは疑いようがない。

ミドシップされたエンジンは、非常に高精度なメカニズムだとわかる。シャシーは挙動を予想しやすく落ち着いている。コーナーではアクセルペダルの加減で、フロントノーズの向きを調整しやすい。中速コーナーでは、ピタリと安定している。

スパルタンモーター・スパルタン・プロトタイプ
スパルタンモーター・スパルタン・プロトタイプ

いずれも、偶然で生まれたわけではない。トラクション/スタビリティ・コントロールも、アンチロックブレーキも備わらない。「それらは必要ありません」。ニックが笑いながら答える。

パワーウエイトレシオは666ps/tに達するが、彼らの考えは正しい。15年という長い開発期間によって、課題は解決されている。政府の新規事業に対する補助金もあったとはいえ、自己資金で大部分がまかなわれたため、時間の短縮は難しかったとも明かす。

ピーターが振り返る。「進化を得るには時間が必要でした。これを1年やそこらで仕上げることは不可能です。間違いは避けられませんし、修正にも時間が掛かります。2人とも、かなりこだわる方ですから」

世界クラスの技術者も、スパルタンの開発には関わっている。ダブルウイッシュボーン・サスペンションや、スチール製スペースフレーム・シャシーの設計・製作には充分な知識と技術を備えていたが、実際のセットアップには相応の経験も必要だった。

この続きは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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