ウルスへ大感謝 ランボルギーニ・ウラカン・ステラートへ試乗 最高に楽しい1499台限定

公開 : 2023.05.17 08:25

グランドツアラーとしての能力も高い

間もなく最後を迎える、自然吸気の5.2L V型10気筒エンジンが荒々しいサウンドとともに目覚める。テクニカと同様に、ランボルギーニは自己主張が強い。

初めに一般道を走らせると、驚くほど従順なことへ驚いた。フロントが235/40 R19、リアが285/40 R19というサイズのブロックパターン・タイヤを履くが、穏やかにアスファルトを捉え続ける。乗り心地は、路面へ吸い付くように安定している。

ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(北米仕様)
ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(北米仕様)

最高出力610psを発揮するV10エンジンと、7速デュアルクラッチATの鋭い反応とは、少し相容れないかもしれない。アリエル・ノマドの印象と重なるようだ。筆者は、ノマドは先駆者的なモデルだと従来から考えていた。

技術者のモールはアリエルを運転したことがないというが、刺激を受けた例としてアルピーヌA110を挙げていた。軽いシャシーにしなやかなサスペンションが組み合わされ、アクセルペダルの加減でのコーナリングが得意なモデルだ。

確かに高速道路を運転していると、A110に近いかもしれない。クルージング時のエンジンは想像より静か。車内空間はややタイトで、ルーフ部分に追加されたエアスクープが後方視界を遮っているが、グランドツアラーとしての能力は高い。

ステアリングの反応も甘美といえる。適度に重く、とても正確。コミュニケーションを取りやすい。

すべてを探りたいと思える悪路での面白さ

続いてラリークロス・サーキット。モールは、筆者に2つを指示した。「まず、楽しんでください、それから、ドリフトも」

ラリークロスは、オフロードとオンロードが混在したコースで速さを競う競技だ。試乗に用意されていたサーキットも、約半分の路面は砂利のグラベル。残りは、アスファルトが敷かれたターマックで構成されている。

ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(北米仕様)
ランボルギーニ・ウラカン・ステラート(北米仕様)

ランボルギーニによれば、ターマックではスポーツ・モードが、グラベルではラリー・モードが適しているとする。とはいえ、ラリー・モード時はスタビリティ・コントロールとABSの制御が緩くなるため、ターマックとの相性も良いと思う。

ウラカン・ステラートは最高だ。盛大なエンジンサウンドに浸りながら、斜め横に疾走していく。

パワフルなエンジンに柔らかいサスペンションだから、基本的に落ち着いているとはいいにくいものの、すこぶる面白い。動的能力の水準は高く、扱いやすく、すべてを探りたいと思える。

ボディは加減速で前後へ傾斜し、旋回では左右へ傾く。しかし、アダプティブダンパーが知的に姿勢を制御し、弾むような動きはしっかり抑えられている。すべての負荷を吸収し、安定させる。

コーナーではブレーキを掛けてフロントへ荷重を移し、少し滑らせつつ旋回しながら出口を向き、再加速に向けた体勢を整えやすい。あるいは、思い切りテールを振り回してパワーをかけ、ドリフトしたまま脱出することも問題ない。A110のように。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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