間違いなく面白い154ps アバルト500eへ試乗 毎日を笑顔にするホットなBEV 後編

公開 : 2023.05.25 08:26  更新 : 2023.07.20 12:29

ランドレー・スタイルのカブリオも選べる

ドライブモードには、一般道を前提としたスコーピオン・ストリート・モードも用意されている。これは、日常的なシーンでアバルト500eを運転するのに適した、デフォルト設定。むしろこのクルマは、市街地との相性が極めて優れる。

もう1つ選べるモードが、ツーリスモ。航続距離を伸ばすため最高出力が制限され、最高速度も低くなる。

アバルト500e ツーリスモ(欧州仕様)
アバルト500e ツーリスモ(欧州仕様)

一般道を気ままに約3時間走らせた結果、今回は1度の充電で約195km走れる計算となった。実容量で37.3kWhと小さめの駆動用バッテリーなことを考えれば、悪くない数字といえる。より穏やかに運転するであろう日常での、実用性は低くない。

ちなみに試乗にお借りしたアバルト500eは、英国では2段階選べるトリムグレードの1つ、ツーリスモ。ベースグレードより4000ポンド(約64万円)お高いが、装備がかなり充実するため費用対効果は高いといえる。

18インチ・ホイールにアルカンターラ内装のほか、シートヒーター、パーキングセンサー、バックカメラ、パノラミック・ガラスルーフなどが備わる。筆者が選ぶなら、ツーリスモにすると思う。

フィアット500eと同様に、アバルトにも固定ルーフの3ドア・ハッチバックに加えて、2ドアのカブリオレも設定される。3000ポンド(約48万円)の上乗せになるが、サイドにフレームが残るランドレー・スタイルの開放感を楽しめる。車重は25kg増える。

カブリオレにも試乗させていただいたが、ハッチバックと比較して、サスペンションは僅かに柔らかく感じられた。しかし技術者に確認したところ、同じ設定だという。

毎日を笑顔にしてくれる小さなBEV

アバルト500eの印象をヒトコトでまとめるなら、「面白い」だろう。スタイリングは非常に好印象で、実際に運転してみても訴求力は高い。毎日を笑顔にしてくれる、小さなBEVだと思う。

反面、内燃エンジン時代の基準では、本物のホットハッチだと呼びにくいことも事実。ドライバー側の意識を、改める必要性があるのかもしれない。人工サウンドでそこに一石を投じたアバルトも、解決すべき課題があると理解しているのだと思う。

アバルト500e ツーリスモ(欧州仕様)
アバルト500e ツーリスモ(欧州仕様)

アバルト500e ツーリスモ(欧州仕様)のスペック

英国価格:3万8195ポンド(約615万円)
全長:3631mm
全幅:1683mm
全高:1529mm
最高速度:154km/h
0-100km/h加速:7.0秒
航続距離:264km
電費:5.8km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:1410kg
パワートレイン:AC永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:37.3kWh(実容量)
急速充電能力:85kW(DC)
最高出力:154ps
最大トルク:23.8kg-m
ギアボックス:シングルスピード

記事に関わった人々

  • マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    英国編集部ライター
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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