2.0L PHEVの上級フルサイズ ジープ・グランドチェロキー 4xeへ試乗 本格派の走破性 後編

公開 : 2023.05.30 08:26

EVモードで過酷な悪路に立ち向かえる

姿勢制御は、欧州市場を前提に開発されたランドローバーとは一味違う。身のこなしはどこかぎこちなく、クルマを操ることで引き出される楽しさが薄い。安心感や滑らかさも、高いとはいえないだろう。

とはいえ反応は素直で、ドライビング体験に魅力がないわけではない。少なくとも、トヨタランドクルーザーには太刀打ちできると思う。

ジープ・グランドチェロキー 4xe サミット・リザーブ(欧州仕様)
ジープグランドチェロキー 4xe サミット・リザーブ(欧州仕様)

ジープとして肝心のオフロード性能は、スゴイのヒトコト。EVモードに固定したまま、従来のオフローダーのように過酷な悪路に立ち向かえる。駆動用モーターは、豊かなトルクを発進直後からタイヤへ伝える。驚くほどスムーズに。

走破性は極めて高い。むしろ、多くの高級オフローダーと同様に車両価格が頭をよぎって、悪路へ立ち向かう勇気が先になえてしまうほど。

試乗では、傾斜30度の斜面へ横向きにグランドチェロキーを止める機会もあった。横転するのではないかと心配したが、現場のスタッフによれば、まったく問題ないらしい。

たくましく、行く先を選ばない能力を考えると、キャンピングトレーラーを引っ張ることなど朝飯前。真冬のハンティングも、真夏のマリンレジャーも、存分に楽しませてくれそうだ。

英国人も気に入るであろうパッケージング

アメリカンなフルサイズSUVらしく装備は充実し、オンロードでもオフロードでも不足ない動力性能を発揮する、グランドチェロキー。プラグイン・ハイブリッドだから、こまめに駆動用バッテリーを充電すれば、燃費も期待できる。

英国人も、きっと気に入るであろうパッケージングに思える。ただし、英国価格は8万5615ポンド(約1378万円)と、広くオススメできる設定ではない。

ジープ・グランドチェロキー 4xe サミット・リザーブ(欧州仕様)
ジープ・グランドチェロキー 4xe サミット・リザーブ(欧州仕様)

欧州でのシェア拡大を目論むジープにとって、恐らく一定の役割は果たせると思う。しかし大多数のわれわれにとっては、電動のコンパクトSUV、アベンジャーの方がピッタリなことは事実だろう。

ジープ・グランドチェロキー 4xe サミット・リザーブ(欧州仕様)のスペック

英国価格:8万5615ポンド(約1378万円)
全長:4914mm
全幅:1968mm
全高:1799mm
最高速度:212km/h
0-100km/h加速:6.0秒
燃費:38.5km/L
CO2排出量:60g/km
車両重量:2521kg
パワートレイン:直列4気筒1995ccターボチャージャー+電気モーター+ISG
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:17.3kWh
最高出力:380ps/5250rpm(システム総合)
最大トルク:64.8kg-m/3000rpm(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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