操舵/安定性　★★★★★★☆☆☆☆

BMWやジャガー、もしくは新参ながらクプラのようなメーカーであれば、ハンドリングは重視すべき項目だ。対して、欧州参入から日の浅いBYDに関して言えば、それほど期待はしていない。

驚くほどサポートの効いたシートに身を預け、3スポークの小径なステアリングホイールを握ると、スポーティに走ってくれることを期待するが、実際には快適志向のクルマだ。

ソフトなサスペンションは大きめのロールを出し、ステアリングのレスポンスは極めて鋭いというものではない。スポーツモードを選んでも、手応えは軽く、インフォメーションは少なめ。それでも、ロールは徐々に増していき、路上でのポジショニングをあれこれ考えさせられることは一切ない。

18インチホイールには、この手のクルマとしては驚くほどワイドな235幅のコンチネンタル・エココンタクト6Qを履く。少なくともマイルドな性質のタイヤではあるが、グリップのポテンシャルは十分だ。

言い換えるなら、アット3はMG4EVのような小さな新発見というものではないが、多くを望みすぎなければそつなく走るクルマだ、ということになる。

ちょっとハードに走らせると、全体のバランスにほころびが出はじめることがわかるはずだ。コーナリング中に路面不整があると、ステアリングには強いキックバックが生じ、直線での舗装の穴も、ほかのクルマよりきつく、ステアリングを通じて感じることになる。

ステアリングの破綻は、加速中にも思い知らされる。アット3には、多少ながらトルクステアが見られるのだ。

画像　写真で見るBYDアット3とライバル　全16枚