BYDアット3 詳細データテスト 英国でも快適な乗り心地 先進的なバッテリー 操作面は改善が必要

公開 : 2023.06.10 20:25  更新 : 2023.07.04 00:17

内装 ★★★★★★☆☆☆☆

エクステリアはやや無難かもしれないが、インテリアはかなり独創的だ。ブルーとクリームのレザレットが入り混じり、波打った織物のマイクロファイバーやCDラック風の送風口は独特の設え。さらに、センターの大きなディスプレイが回転したり、弦楽器のようにかき鳴らせるドアポケットといったトリックも仕込まれている。

奇抜すぎるというユーザーもいるだろうが、黒っぽい内装に飽き飽きしていたというなら好意的に受け入れられるかもしれない。第一印象では、レザレットに不自然さはあるものの、触れるものすべて、ソフトな仕上げでありながらかなりソリッド。

明るく個性的な色合いや独特のデザイン、凝ったギミックなどが目を引くインテリア。しかし、操作性や素材のにおいといった、気になる点はある。
明るく個性的な色合いや独特のデザイン、凝ったギミックなどが目を引くインテリア。しかし、操作性や素材のにおいといった、気になる点はある。    MAX EDLESTON

走行5000km弱のテスト車でさえ、軽いマテリアルの表面には傷が入っていたが、広報車は荒っぽく扱われがち。短期間でも、ユーザー車がローンを払い終える一歩手前くらいのダメージを負いがちだ。

しかし、インテリアには深刻な問題がふたつある。まずは、かなり強いケミカル臭を放つマテリアルがあること。熱が加わるとにおいが強まるので、走っているうちにますます臭くなる。中国車によくあることだが、アット3もエアフィルターの性能についてあれこれ書き立てている。とはいえ、汚れた外気の浄化能力に優れていても、内気の改善には役に立たない。

もうひとつは2次的な操作系がどれもユーザーフレンドリーではないことだ。ドライビングポジションは上々で、まともなサイズのセレクターレバーが備わり、扱いにくい静電容量式ボタンはない。そこまではいいのだが、センターコンソールのボタンは使用頻度の低い機能ばかりで、そのくせエアコンや重要なセッティングはタッチ画面で操作しなければならない。

多くのクルマは、その手のアレンジをうまくやっているのだが、BYDは大画面ディスプレイを備えていながら、温度調整に何度もタップすることが必要で、シートヒーターの操作はサブメニューを呼び出さないといけない。

さらに、スマートフォンをミラーリングしていると、エアコンのメニューを呼び出すのに画面の下からスワイプしなくてはならない。しかもメニューの階層を深く進めていくと、Apple CarPlayの接続がしょっちゅう切れ、インターフェイスすべてがフリーズすることもしばしばある。

インターフェイスの問題は、ソフトウェアのアップデートで解決できるはずだ。実際、貸出期間の最終日には、前夜にアップデートされた通知が表示され、不具合はいくらか改善されたが、安定性に関する部分は完全には解消されなかった。

もっとポジティブな話をすると、アット3はフットプリントの使い方がみごとだ。レッグルームはキア・ニロEVと同等で、荷室は容量こそわずかに小さいが、より実用性に優れたスペースで、フラットになるフロアは高さの2段階調整が可能。パーセルシェルフもより頑丈だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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