BYDアット3 詳細データテスト 英国でも快適な乗り心地 先進的なバッテリー 操作面は改善が必要

公開 : 2023.06.10 20:25  更新 : 2023.07.04 00:17

走り ★★★★★★☆☆☆☆

204psの前輪駆動なので、パフォーマンス面で大きなサプライズはない。出力的に同等のキア・ニロEVやクプラボーンに比べれば、0−97km/h加速はごくわずかに遅れ、0−100km/hは公称値の7.3秒に0.1秒及ばなかった。

それでも、これらの数字がややホットなハッチバックに当てはまるものだったのは、そう昔のことではない。ブレーキについては、ベストな制動距離はキアより多少短かった。

スペックやクラスを考えれば、加速も制動も納得できるレベル。ただし、トラクションコントロールの制御や回生ブレーキの設定は、まだまだ改善の余地がある。
スペックやクラスを考えれば、加速も制動も納得できるレベル。ただし、トラクションコントロールの制御や回生ブレーキの設定は、まだまだ改善の余地がある。    MAX EDLESTON

ただ、ここで示される数字より、興味を惹かれるのは日常的な運転で見せるパワートレインの振る舞いだ。そこには、ライバルたちが示すような洗練ぶりがいくらか足りない。

トラクションコントロールは、MG5EVやオーラ・ファンキーキャットといった中国製EVと同様。すべりやすい路面では、前輪のホイールスピンが出るとパワーをほぼ完全にカットし、またホイールスピンするとまたパワーをカットする、その繰り返し。上り坂ではそれを最大で3回リピートした。

トラクションそのものは上々で、スロットル操作を軽めにすれば、このトラクションコントロールの動きも防ぐことができる。しかし、ほかのEVなら慎重にパワーをリリースし、ほぼトラクションを維持するのも事実だ。

回生ブレーキについては、センターコンソールのトグルで標準設定と強い効きとを切り替えできる。しかし、その差ははっきりわかるほどではなく、ごくわずかながら作動の遅れも常にある。これが使いやすいというドライバーもいるだろうが、ワンペダル運転できるほうがいいという声もあるはずだ。わざわざ実体スイッチを用意したのだから、もっと役に立つシステムだったらよかったのだが。

軽いブレーキペダルは、スムースなストップをするのに十分なほどプログレッシブ。性能計測のためにハードブレーキを繰り返すと、ブレーキの焼けるにおいが強く出て、制動距離がやや伸びる。113−0km/hのベスト値は45.9mだが、4回目には48.2mとなった。それでも、十分に納得できる結果ではあるのだが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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