1902psでインドの最高速記録へ挑戦 ピニンファリーナ・バッティスタ マヒンドラ・グループの誇り

公開 : 2023.06.28 08:25

クワッドモーターで1902psを誇る、ハイパー・バッテリーEVのバッティスタ。AUTOCARはインドでの最高速記録へ挑みました。

マヒンドラ・グループにとって誇らしい象徴

アウトモビリ・ピニンファリーナのハイパー・バッテリーEV(BEV)、バッティスタを表現するとき、どんな言葉が適切なのか悩んでしまう。少なくとも、筆者がこれまでに運転したクルマのなかで、最も速く、最もパワフルで、最も高額なことは間違いない。

2015年、イタリアの名門カロッツエリアは、インドのマヒンドラ・グループ傘下になった。そして「PF0」というプロジェクト名を掲げた、ロードカーの開発へゴーサインが出された。成果として、1902psのバッティスタが誕生した。

ピニンファリーナ・バッティスタ
ピニンファリーナ・バッティスタ

それまでのマヒンドラといえば、SUVを主力とするインド市場中心の自動車メーカーだった。しかし、世界屈指の超高性能なBEVを提供する立場へ、バッティスタが一躍踊りだたせた。

彼らは、BEVに強い関心を示している。オープンホイールの電動レーシングカーで競う、フォーミュラEのレーシングチームも運営している。2022年8月には、今後の4年間で5種類の電動SUVを提供するという計画も発表された。

アウトモビリ・ピニンファリーナは、そんなマヒンドラ・グループにとって誇らしい象徴といえる。その存在をアピールしたいと考えている。フォーミュラEのインド・ハイデラバード戦でも、バッティスタは堂々と展示されていた。

この光景を目にし、AUTOCAR INDIAは1つのアイデアを思いついた。せっかくマヒンドラ・グループの拠点があるインドへバッティスタが来たのなら、少し特別なコトをしてはどうだろうと。

肺で普通に呼吸することすら難しい加速力

ハイデラバードから北へ約950km離れた場所に、ナトラックス自動車試験コースがある。インド国内での自動車の最高速記録へ挑むことは、面白いに違いない。

広大な敷地には、アジア圏として最大級を誇る、7マイル(約11.2km)の高速周回コースが整備されている。道幅は4車線あり、2kmの直線2本が緩やかなバンクカーブで結ばれている。インドで、最も高い地上スピードを狙える場所だ。

ピニンファリーナ・バッティスタ
ピニンファリーナ・バッティスタ

目標へ据えたのは、当時新設された高速道路の閉鎖区間で、2016年にアウディR8 V10が達成した332.2km/h。その時も、AUTOCAR INDIAのスタッフがステアリングホイールを握っていた。

自動車試験コースが完成したことで、記録への挑戦はずっと簡単になった。最新のバッティスタのローンチコントロールも、一発で身につけられた。

ブレーキペダルを踏み込んだ状態で、アクセルペダルを深く傾ける。すると、カチッと切り替わる音が鳴る。後は、ブレーキペダルを放せばいい。

ドライブモードは、最も過激なフュリオサ。加速力は凄まじい。頭がシートから離れなくなり、頬の肉すら後ろへ引っ張られる。肺で普通に呼吸することすら難しい。今まで経験したことのない、容赦ないロケットダッシュだ。

余りの勢いに、筆者の思考がついていけなくなる。本能的に右足の力を緩めそうになるが、気持ちを奮い立たせ、アクセルペダルを蹴り続ける。バッティスタは、平然とスピードを高めていく。

記事に関わった人々

  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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