2024年に3代目へ一新 新型フォルクスワーゲン・ティグアン 2.0TDIの試作車へ試乗

公開 : 2023.06.29 08:25

プレミアムという表現を用いたい乗り心地

シャシーは大幅にアップデートされ、2バルブ・ダンパーが採用されることがトピック。フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIとベースを共有する、ビークル・ダイナミクス・マネージャーを実装し、敏捷性や洗練性を大幅に向上させることが目指されている。

サスペンションの特性は、タッチモニターに表示されるメニューから変更可能。コンフォートからスポーツまで、15段階から選べる。

新型フォルクスワーゲン・ティグアン・プロトタイプ
新型フォルクスワーゲンティグアン・プロトタイプ

その可変幅は大きく、1番コンフォート寄りにすると、石畳の路面でも巧みに衝撃を吸収。タイヤをしなやかに動かしつつ、ボディは平穏に保ち、落ち着いた乗り心地を実現させていた。プレミアムという表現を用いたくなるほど。

フォルクスワーゲンの技術者は、古いシトロエンのような、魔法のじゅうたん的な質感は狙わなかったと強調する。路面との一体感や追従性は維持しつつ、快適性を大幅に高めることへ注力したという。

ステアリングホイールへ伝わる、控えめなフィードバックも快適性へ貢献している。設計が改められたシートベースも。

うねるような路面へ進んでも、路面からの入力を遮断し、ボディが大きく揺らぐことはないようだ。旋回時のボディロールも抑えられており、車重が約1.7t、全高が1640mmあるクロスオーバーとしては、姿勢制御も褒められるだろう。

ひと回り大きいSUVに匹敵する実用性

ティグアン 2.0TDIのオーナーで、サスペンションを最もスポーツ寄りにする人は、現実的には限られるだろう。フォルクスワーゲンは、1人でリフレッシュしたい気分用の設定だと考えている。

ステアリング系統が新しくなり、クイックで正確な反応を実現させている。挙動は予想しやすく、カーブが連続するような道でも操る自信を与えてくれる。

新型フォルクスワーゲン・ティグアン・プロトタイプ
新型フォルクスワーゲン・ティグアン・プロトタイプ

ヘアピンカーブへ突っ込んでみたが、アンダーステアは見事に抑えられていた。確かに、仕事帰りに寄り道してワインディングを流す、といった楽しみ方もできそうだ。

とはいえ、ゴルフ GTIのようになるわけではない。ダンパーを引き締め、ステアリングを重くしても、高めの全高が招く動的な制限からは逃れられない。

コンフォートさとスポーティさとの両立へ、同社が努力した成果としては高く評価できるだろう。それでも、ある程度シャープなコーナリングとの引き換えに、乗り心地は若干神経質になる。70%くらいの硬さでも、満足できると思う。

ホイールベースは2681mmで、2代目とほぼ同値。車内空間は高さ方向で10mm増え、荷室容量は33L拡大される。比較的小さなボディで、ひと回り大きいSUVに匹敵する実用性を、3代目でも実現されるようだ。

クロスオーバーのゴルフと呼ばれるティグアン。3代目の発売は、2024年が予定されている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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